「“あの日”が近づき、強く思うのは、30年より31年、35年より36年…いわゆる節目と呼ばれる年の次の年、震災とどう向き合うかなんですよ」。
中村翼さん(30)は1995年1月17日・午後6時21分、神戸の病院で生まれた。
6432人の命が失われた日に『生』を受けた翼さん。阪神・淡路大震災の発生日は、中村翼という人間が誕生した日。
当時両親が住んでいたのは神戸市兵庫区。マンション10階で就寝中だった。1週間後に出産を控えた母親の上に、父親が覆いかぶさった。
その様子が昨年(2024年)末、1冊の絵本になった。タイトルは『ぼくのたんじょうび』。画家・中嶋洋子さんが神戸市東灘区で主宰する絵画教室「アトリエ太陽の子」に通う園児・児童・生徒219人が制作した。
阪神・淡路大震災の記憶を100年先に残すため立ち上げた一大プロジェクトは、クラウドファンディングで多くの人からサポートを受けて実現した。