この度、瀬戸内海の環境保護に取り組む市民グループ「播磨灘を守る会」が、
たつの市の新舞子海岸に生息する生物と、
野鳥を対象にした2006年から12年間の調査結果を冊子「新舞子の魅力」にまとめました。
これまで、「播磨灘を守る会」は、住民の方々を交えた海の観察会を続ける傍ら、
さまざまな生き物をデータとして残そうと、専門家の協力で調査を続けてきました。
今朝は、その調査に携わった、NPO法人 南港ウェットランドグループの理事で
いらっしゃる、和田太一さんにお越しいただき、お話を伺いました!
和田さんが理事を務める、NPO法人 南港ウェットランドグループは、
大阪市にある大阪南港野鳥園の干潟の調査・保全活動をしているグループ。
全国の干潟で活動されている方々と交流したり、干潟調査の協力をしたりしています。
研究者ではなく市民の側の立場で、水鳥の数や行動を調べたり、
海岸にどのような生物がいるのかなど保全の基礎となるデータを集め、
生き物の視点からその干潟の重要性をアピールしています。
和田さんは、これまでに西日本を中心に全国140ヶ所以上の干潟を訪れ、調査や観察をしてきたのだとか。
そんな南港ウェットランドグループは、2006年に播磨灘を守る会の生物調査観察会の講師を引き受けて以降、
毎年生物調査や観察会の講師を続けているのです。
調査対象となった新舞子海岸は、
春は潮干狩り場、夏は海水浴場としても利用されている海岸で、
潮が引くと沖に現れる砂の州の模様が美しい、風光明媚な海岸。
「播磨灘を守る会」が新舞子海岸で毎年、生物調査も兼ねた自然観察会を行っています。
今回は、研究機関が行うような専門的な手法での調査ではなく、
海岸を歩き回って、干潟をショベルで掘ったり、
岩にくっついている生き物を探したりする方法で調査。
地元の方や子どもたちの参加もあったりしてワイワイ楽しく生き物探しをします。
そこで見つけた生き物の種類を記録し、
新舞子海岸の基礎データとなる生物リストを作成します。
鳥の調査は野鳥の会ひょうごの工先生が講師となって観察会を行っており、
新舞子海岸と周辺の揖保川や元川の鳥類についてずっと調査されてきた結果をまとめられています。
地域の方や子どもたちが自分たちの住んでいる近くの海にどんな生き物がいるのかを、
実際の海岸で生き物を見つけ知るということが地域の海や自然への関心を高め、環境を
見守る力につながっていく、そこに市民調査の意義があると思うと和田さん。
12年間の調査で238種類の底生生物(海底で暮らす魚類も含む)を確認することができました。
そのうち、環境省と兵庫県のレッドデータブック(絶滅のおそれのある野生動植物のリスト)、
そして干潟の底生生物の研究者たちの学会である日本ベントス学会が2012年に発行した「干潟の絶滅危惧動物図鑑」に掲載されている生物が72種類含まれており、記録された生物の約3割が絶滅危惧種という結果に。
これだけ多様な環境と生物が見られる場所は全国的に見ても貴重なのだとか。
2012年以降に東から西へ砂を移動する工事を行ったことで、移動した砂を入れた場所では、以前はたくさんいたコメツキガ二やスナガニが一時姿を消したり、以前は見られなかったイソシジミなどの生物が見つかるようになったり、砂浜の所々に細かな泥の塊ができたりなど、生物へのダメージや環境の変化が現れたよう。
年月が経つと共に回復してきてはいるが、あまり見つからなくなっている生物もいるそう。
新舞子海岸は関西では非常に少なくなった「本物の自然を体感できる海岸」。
豊かな自然が残されていることは地域の宝。しかし、最近は私たちの生活と海との
つながりが少なくなり、地元の海への関心が薄れてしまっているということもあるのではないかと思う。
今残されている自然の海岸をこれ以上壊さないようにすること、そして海の環境が
悪くなっていかないようにみんなで関心を持って見守っていくことが大事だと、和田さんは仰っていました。
今回の調査結果が詳しく乗っている冊子「新舞子の魅力」は、「播磨灘を守る会」から
500円で販売されています。なお、郵送の場合は、送料各自負担となります。
ご希望の方は、ファックスでお申し込みください。
ファックス番号は、079-322-8855です。
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- 潟見人(がたみにすと)が調査!貴重な環境、新舞子海岸!
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