3月11日、東日本大震災から10年を迎えた。阪神・淡路大震災から四半世紀以上が過ぎ、「気をつけているつもり」「地震の恐ろしさを理解しているつもり」・・・地質や地震の研究を続ける日本地震学会・会員、西影裕一さん(姫路市在住)は年間数多くの講演や学習会を通して警鐘を鳴らす。それは、単に風化ではなく「それぞれが住む土地の状態について、あまりにも無知である」ことを年々感じるようになったからだ。
西影さんは、2015年に写真集「2つの大震災から何を読み取るか」を自費出版している。地震大国・日本に住む私たちに求められる災害対策について聞いた。<記事中の写真撮影・提供 西影裕一さん>
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南海トラフ巨大地震が起こる可能性は、2050年までに70~80%とされている。南海トラフ巨大地震は東日本大震災と同じ規模のマグニチュード8~9と考えられるため、兵庫県では阪神地域・淡路島南東部に2~5メートル、播磨地域・淡路島北東部に1~2メートルの高さの津波が押し寄せるといわれている。東日本大震災のエネルギーは阪神・淡路大震災の約1000倍であることから、その破壊力は凄まじいものであることが容易に想像できる。津波は東日本大震災のように10数メートルもないが、海水が家の壁にぶつかると跳ね上がるから、5メートルの津波が押し寄せると2階建ての家なら屋根にまで達すると思われる。
普段から防災を考える習慣が身についているだろうか。地震大国・日本に住む私たちにとって、防災を考えるとは、「命を守る方法を考える」ということである。
地震時の防災は、(1)地震が起こる前、(2)起こったとき、(3)起こった後の3段階に分けて考えておくといい。「今、自分がいるところで地震が起こったらどうするか」普段から考える習慣をつける「イメージトレーニング」が必要だ。