静岡県熱海市・伊豆山の大規模土石流災害の現場で、捜索活動に派遣された兵庫県警の広域緊急援助隊約35人が帰還、隊員2人がラジオ関西の単独インタビューに答えた。降り続く雨に捜索は何度も中断、緩い地盤に足を取られる危険な現場。2人は口をそろえて「これまでにない、難易度の高い災害現場だった」と振り返った。
隊員らは7月6日に兵庫を出発、車で約9時間かけて熱海の災害現場に入った。そして7~9日の3日間、行方不明者の捜索活動に当たった。隊が担当した地域は道が狭く、重機が使えなかったため、スコップやのこぎりなどを使って手作業で土砂をかき分けた。
■土が流れる「勢いと重み」その脅威を思い知る
生田警察署(神戸市中央区)・直轄警ら隊に所属する地域第4課長・木村公士(ひとし)警部(35)は「坂を乗り越えて崖を見ると、がれきが積もっている状態。これをどうしたらいいのだろうかという課題をいきなり突き付けられた。初日は大雨警報、2日目は土砂のすき間から水が漏れて危険な状態になり、活動中断という状態。道も細い坂で曲がりくねっていたので、すべて手作業。スピードは上がらず、1人でも行方不明者を発見したかったが、3日間の期限が来て警視庁の部隊に引き継いだ。足場は粘土質の緩い土壌。 1歩入れば浅くても足首まで、深いところで膝まで埋まってしまうこともあった。腰まで埋まりそうになった隊員もいた。まさに泥沼だった」と話した。
そして、雨で何度も中断を強いられ、もどかしさを感じながら「川の氾濫などで、流れてくる水の中に木片や土、がれきが混ざっている光景はよく見ていたが、土が川の水のように流れてくると、勢いと重みが違う。本当に恐ろしい。粘度が高いので”くるぶし”まで浸かると、水ならば何とか抜けると思うが、土の中では無理だと思った」と振り返った。
さらに「雨が降るから土砂崩れが起きる、これは当然の論理。私たちは天候不順だと、どうしても上空ばかりを見てしまいがちで、足元は大丈夫、という神話が先行してしまっている」と警鐘も鳴らす。