「農福連携」の現状と課題とは? 現場レベルの実情と事業者の思い

LINEで送る

この記事の写真を見る(4枚)

 農業と福祉が手を取り合う「農福連携」の動きがいま、進んでいる。現場レベルでは実際にどんな状況なのだろうか。

「ひょうごユニバーサル大使」を務める“盲目の漫談家”濱田祐太郎さんが出演するラジオ番組【濱田祐太郎のひょうごユニバーサル通信】(ラジオ関西『PUSH!』内)が、実際に「農福連携」に取り組む就労継続支援B型「ドリームボール」理事長の竹本武志さん(特定非営利活動法人スポーツアカデミー「Shine」代表)に話を聞いた。

《※「ユニバーサル社会」とは、年齢・性別・障がいの有無や、言語・文化などの違いに関わりなく、すべての人が地域社会の一員として尊重される社会のこと》

 農福連携とは、農林水産省のホームページによると、「障がい者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取り組み」。担い手不足や高齢化が進む農業分野において、障がいを持つ人たちが、新たな働き手として期待されている。

 ただし、濱田さんが「今回、初耳だった」というように、農福連携という言葉が世間一般にはまだまだ浸透していないのも現状だ。

農福連携(農作業)の様子

◆利用者の夢がかなった「金ゴマクッキー」

 竹本さんが理事長を務める就労継続支援B型「ドリームボール」では、30代~60代の5人のメンバーが農福連携の事業に携わっている。西脇市や民間からの要請を受け、西脇市の特産品でもある『金ゴマ』を栽培。また、専業農家を目指している若手の農家からの依頼で、今年から玉ねぎや黒豆の収穫の手伝いもやり始めているそうだ。「なかでも、(年齢が)70近い人がものすごくよく働いてくれて、みんなを引っ張ってくれている。そのため、若い人もさぼれない」と竹本さんが明かすと、濱田さんは「あの人が頑張ってるんやったら、となりますよね」と、その状況をおもんばかっていた。

 そのなかで、「ドリームボール」が携わっている国産の金ゴマは、「とても貴重なもの。国内で流通している99パーセントのゴマは海外からのものだと聞いているので」(竹本さん)。その金ゴマ、「金播磨」(きんはりま)を作るために、田んぼの石拾い・種まきから刈り取りまで一連の栽培作業を行っている。

 この事業に携わるなかで「この貴重な金ゴマを使って何か喜んでもらえるような商品を作りたい」という利用者の夢が叶い、誕生したのが、「金ゴマクッキー」。それまでクッキー作りを行ったこともなかった「ドリームボール」のメンバーは、行政関係者の協力を得て、試作を繰り返したうえで完成にこぎつけた。今では、ふるさと納税の返礼品にもなっている。

金ゴマ(左)と、金ゴマクッキー

 濱田さんは、ここで竹本さんに素朴な疑問もぶつける。

「竹本さんは最初、金ゴマでクッキーをつくるという話しのとき、なんで貴重なゴマをクッキーに使うのとは思わなかったのですか」

 竹本さんは「(作業の)ハードルが低いから焼菓子からやってみたほうがいいと指導をいただいてやっています」と事情を説明。そして、「ぜいたくに金ゴマを使うんですよ! 1キロ5000円もするものを……」と答えると、濱田さんは「(自分が稼ぐために)何回舞台に立たなきゃいけないんですか!」と自虐を交えながら、その価値の高さを理解していた。

◆農福連携のよさは「生きがいや、ふれあい、やりがい」を感じること

 農福連携の事業を行っていく中で、「地域の役に立っているということと、認められている喜びというのがあり、利用者さんが生きがいを感じてやってくれています」と竹本さんは語る。「農作業は夏は暑く冬は寒くて非常に厳しいですが、地域の方たちとのふれあいがあったり、栽培から収穫まで携わっているので(利用者が)やりがいを感じています」。

 また、農福連携によるメリットについてはこう続ける。「(障がい者なども)工賃向上や社会参加が実現でき、自身の視野を広く持つことができるといった福祉の面でのメリットがあります。そして、農作業の一部を手伝うことで、高齢化が進む農業分野の担い手として役立っているのかなと思っています」。

 しかし、一方で課題も見えてきている。「障がいの内容がそれぞれ異なっているため、どの事業所でも農福連携ができているわけではないので、できる部分を分担し、もっと多くの事業所で楽しく取り組んでいきたい。また、スタッフが高齢化していくと利用者に対応できないので、若いスタッフにも来てもらいたい」(竹本さん)。

「ドリームボール」としての今後の展望について、「来年度から休耕田を借りて、イチから自分たちだけで、金ゴマづくりをやっていきたい」と述べた、竹本さん。

 今回の番組を通じて農福連携の取り組みを知った濱田さんは、竹本さんの展望を受けて「金ゴマができたときには、いくらでも商品化プロデュースしますよ!」と対応。「農福連携は初めて聞く言葉だったが、一時期、農業ギャル、農ガールというものもブームになりかけていたので、そういった人たちと協力すれば、素敵な出会いがあるかもしれない」と、得意のユーモアを交えて答え、スタジオを和ませていた。

「濱田祐太郎のひょうごユニバーサル通信」生放送の様子

◆香りはガツンと!味は優しい「いつでもできる紫蘇ジュース」

【濱田祐太郎のひょうごユニバーサル通信】番組後半では障がい者が作った授産品、「いつでもできる紫蘇(しそ)ジュース」が紹介された。製造しているのは、兵庫県宍粟市山崎町の「障害者就労継続支援B型事業所 みみずく耕房」。ティーパックで気軽にいつでも楽しめるしそジュースは、有機農法により栽培し、無添加、無着色。紫蘇の生産から収穫、加工、包装まで、みみずく耕房の利用者が丁寧に製造。糖分を入れていないので、好きな甘さに調整できるのもうれしい。番組内で試飲をした竹本さんも「有機栽培で安心して飲めるのはいいですね! 優しい味ですね」と絶賛していた。

 価格は、7パック600円(税込み)。販売は、みみずく耕房で直接購入、または道の駅ちくさ、道の駅播磨一宮などで販売。問い合わせは、就労継続支援B型「みみずく耕房」(電話0790-60-5781、FAXは0790-60-5050)まで。

※ラジオ関西『PUSH!』2021年8月17日放送回【濱田祐太郎のひょうごユニバーサル通信】より


【放送音声】

 

 

 

LINEで送る

関連記事