「日本酒を国内だけで消費する時代は終わった」フランスから世界展開を目指す播磨の酒 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「日本酒を国内だけで消費する時代は終わった」フランスから世界展開を目指す播磨の酒

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 天保6(1836)年創業の造り酒屋を切り盛りするかたわら、「はりま酒研究会」会長として地元酒造業界を牽引する、田中酒造場(兵庫県姫路市)社長の田中康博氏。2年前の2020年3月にGI(地理的表示)認証を受けた、兵庫県の播磨地域22市町を産地とした日本酒の地域ブランド「GIはりま」では、関係者間の調整に奔走した人物だ。その功労者が、今度はフランスのワイン産地との交流に力を注いでいるという。このたび田中氏に、兵庫・播磨から世界へ打って出るための戦略と展望などを聞いた。(取材・文=播磨時報社)

――播磨地域の酒蔵が兵庫県産山田錦のみを使って醸造した日本酒に「GIはりま」を冠するようになった。認証の経緯は?

【田中康博社長(以下、田中社長)】 GIとは、各地の特産品の品質に大きく影響を及ぼしている気候や地質といった産地固有の風土と伝統的な生産方法などを地域ブランドとして登録し、国が保護する地理的表示制度のこと。フランスの「ボルドー」や「シャンパーニュ」を例に挙げると分かりやすい。

「はりま」のGI認証は、当時の井戸敏三知事からの提案がきっかけだった。麹菌で醸した日本酒について最古の記述がある「播磨国風土記」が2015年に編纂1300年を迎えるので、「播磨の各蔵で記念酒を作れないか」と仰った。日本酒発祥の地、宍粟市の庭田神社で採取した麹菌を使って各蔵で「庭酒」をつくるのに成功し、いろんな日本酒PRイベントを展開しているところに国税局から「GIを取得しないか」と案内された。

――2020年3月に認証され、これから世界に打って出ようとした矢先のコロナ禍。

【田中社長】 制約がある中、手始めに姫路城に歌舞伎俳優の中村壱太郞さんを呼んでYouTubeなどでオンラインイベントを催したほか、兵庫県出身で世界的に活躍する山下春幸シェフの料理とのペアリング食事会、フランスのMOF(国家最優秀職人章)受章ソムリエが監修した輸出用の裏ラベル作成など、特にフランスを意識した様々な取り組みを実践してきた。

――成果は?

【田中社長】 驚くことに、フランスのコンヴェルジョンス・ガローヌ地域(27コミューン共同体)から22市町の播磨広域連携協議会に対して、自治体間ではなく広域での連携交流の申し出が届いた。28蔵しかない我々と比べて、同地域は10分の1の面積なのに339ものワイナリーがある。これは大きな話だが、行きがかり上、私が双方の連絡役になった。昨年秋の収穫祭に呼ばれ、現地で播磨の物産展を催した際には、先方の代表と姫路市長とのウェブミーティングをセットした。近い将来、正式に姉妹提携が行われることになるはずだ。空席だらけの飛行機に搭乗してまでやって来たご褒美の意味もあってか、私はシュバリエという騎士の称号を授かるというおまけ付き。何でも、同地域のワイナリーをいつ訪ねても、顔パスで入れるようになったらしい。

フランスで騎士の称号を贈られた田中康博氏

――フランスからはコロナ前に観光客が急増しており、姫路・播磨への注目度が高い。


・はりま酒研究会
【公式HP】

・田中酒造場
姫路市広畑区本町3-583
電話 079-236-0006
【公式HP】

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