旧優生保護法(1948~1996年)により障がい者らが不妊手術を強制された問題で、全国の被害者が国を相手に損害賠償請求訴訟を起こしているが、敗訴が続く。
全国の9地裁・支部で提訴された損害賠償訴訟で判決が下された6件はいずれも敗訴。このうち仙台、大阪、札幌、神戸の各地裁が憲法違反を指摘したものの、手術から提訴までに損害賠償請求権が消滅する20年の「除斥期間」が経過していたとして訴えが退けられた。
こうした中、2月22日には大阪高裁で、3月11日に東京高裁で控訴審判決が言い渡される。
神戸地裁では聴覚障がい者の夫婦2組と脳性まひのある女性の計5人が、国に計5500万円の損害賠償を求めたが(兵庫訴訟)、2021年8月に敗訴、大阪高裁に控訴している。
2月8日、全国の原告と支援者がオンライン集会を開いた。約400人が参加し、神戸市内の会場でも支援者が集まった。
このうち、聴覚障害のある妻が不妊手術を受けさせられた兵庫県明石市の男性(90)は、自らも聴覚障害があるため手話で参加し「(妻は)望まぬ手術を受けた。お金が欲しくて裁判をしたのではない。国は間違っていたことを裁判所は認めて欲しい」と訴えた。
また先天性脳性まひが原因で身体に障害がある神戸市の女性(66)は「母から突然入院を伝えられ、手術を受けさせられたことを忘れない。障がい者も健常者と同じように、当たり前のことが当たり前に生きて行ける社会に」と望んだ。
被害者の訴えに共通するのは「何の説明もないまま、手術を受けさせられた。そして背景にあった旧優生保護法の存在を知らされず生きてきた。訴訟は賠償金目的ではなく、人として当たり前の生活をしていきたい」ことに尽きる。
兵庫訴訟の弁護団長・藤原精吾弁護士はこれまでにも人権擁護活動を続けてきた。