兵庫県加西市をはじめとした北播磨は、酒米の王者“山田錦”の一大生産地。酒米の農家や、日本酒の蔵元なども多数存在するエリアだが、現在コロナ禍の影響で日本酒の需要が激減している。そのなかでも奮闘する加西の山田錦やお酒を支える人々に話を聞く。
自社栽培の酒米を100パーセント使用してオリジナル日本酒をつくっている「ひょうご酒米処合同会社」の初田源三さん。山田錦の本場である加西市で、酒米の生産と6次産業化に取り組んでいる。日本酒づくりをはじめたのは4年前からで、きっかけとなったのは「農薬や肥料に頼らない安全なお米にこだわっていても、日本酒をつくるときに他の農家(のお米)とブレンドされてしまうことを残念に思った」ことだ。
現在は「安心で安全なお米だけを使えば、できあがる日本酒も安心で安全なものである」という思いのもと、自社栽培の酒米を100パーセント使用したオリジナル日本酒を、酒蔵と協力して作っている。他にも同社では、酒米づくりのノウハウを活かした主食米作りを行っており、2018年には食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる「ASIAGAP認証」を取得。農業体験プログラム実施など今も精力的な活動を行い、加西市の農業を盛り上げている。
「ひょうご酒米処合同会社」は今冬もオリジナル日本酒を製作。新酒の純米吟醸酒「万願寺川」は、地元・加西の万願寺川の水と、同社で作られた酒米・山田錦を使用し、華やかな香りとなめらかな口当たりが魅力の味に仕上げた。添加物は使われておらず、自然由来のうま味を存分に楽しめるという。
現在はコロナ禍の影響で、東京など首都圏に販売することが難しい状況だが、サイト販売などを取り入れることで、自社のオリジナル日本酒を全国に広められるよう活動中。「値段の安さで購入してみたけど、この価格でこんなにおいしい日本酒が飲めるのかという声もあがっています」と初田さん。また、リピーターも多く、クチコミで広まっていることにも自信を得ているよう。
初田さんは「安全なお米と、安全なお酒」づくりだけでなく、「安全な飲み方」についても提供したいと語る。
「お酒が体に入ると、アルコールを分解するために体内の水分が奪われてしまいます。そのため、昔はお酒と一緒に“和水(やわらぎみず)”を飲んで、さらに食事もとるようにしていました。そうすることでお酒と上手に付き合ってきたので、今の若い世代の方々にもそれを知って欲しいですね」(初田さん)
※ラジオ関西『PUSH!』2021年12月15日放送回「加西山田錦!酒ものがたり」より
■ひょうご酒米処合同会社
【公式HP】