そんな加賀さんが最後にレコーディングしたであろう曲が「OSAKA RIVER SIDE BLUES」。仮レコーディングしたものだということで、CD-Rで友だちや関係者に配っていた曲です。河口の街・大正で過ごされた晩年の加賀さんらしいブルースナンバーです。
【橋本】 めちゃくちゃ貴重な音源じゃないですか! しかもとっても素敵な歌声です。
【中将】 アメリカで仕込んだ英語力がすごく生きているし、声に人生がにじみ出てる気がしますよね。
加賀さんは2007年の暮れに持病の悪化で入院し、12月30日にそのまま帰らぬ人になるんですが、亡くなる10日ほど前に僕は「来年はアルバムを作りたいと思ってます。手伝ってください」というメールを受け取りました。それが最後の連絡になってしまいましたが……。もしレコーディングできていれば「OSAKA RIVER SIDE BLUES」の完成バージョンが聴けたかもしれないし、他にも素敵な作品が出来上がっただろうなと……今でも年末が近付くたび加賀さんのことを思い出します。
【橋本】 そうなんですね……。でも今回こうやって自分の歴史や音楽が紹介されたことを加賀さんは喜んでおられるんじゃないでしょうか。
【中将】 喜んでくれていたらいいですね。加賀さんの存在を後世まで語り続けることが、大きな御恩をいただいた加賀さんに僕ができるせめてもの恩返しだと思っています。またなにかご紹介できるといいんですが。
(※ラジオ関西『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』2022年4月30日放送回より)