灘区に50年以上居住する原告団代表幹事・廣岡豊さんは18日、法廷で「私たちは地球温暖化による大きな危機に直面している。 今年(2022年)も命に危険がある猛暑が続き、6月27日から7月3日の一週間の熱中症の緊急搬送は14353回にのぼり、その後も高止まりの危険な猛暑が続いた。これらは人間が起こしたことであり、人間の責任で元に戻さなくてはならない。それには温室効果ガスの排出を大幅に減らし、近い将来にはゼロにすることが必要だ。 今年(2022年)の G7 サミットで、石炭火力の段階的廃止の加速に日本も合意した。発電は石炭に頼らなくても代替手段がたくさんある。 裁判所には現状をしっかりと受け止めていただき、『石炭火力(発電所)の新設が許されない社会である』ということを示してほしい」と意見を述べた。
原告団とともに訴訟を見守ってきた今井絵里菜さん(神戸大学卒業生)は、大学からわずか3キロしか離れていない場所で神戸製鋼の石炭火力発電所が稼働していたことを知り、地球温暖化問題に関心を寄せるようになったという。学生時代の2017年から2年連続で国連気候変動枠組み条約・締約国会議(COP)に参加し、世界で「脱炭素」が叫ばれる中、石炭火力発電を続ける日本に対する風当たりが強かったと話す。
神戸製鋼の石炭火力発電所増設をめぐっては、環境影響評価(環境アセスメント)を適正とした経済産業大臣の確定通知は違法として、周辺住民らが国を相手に通知の取り消しを求めた行政訴訟も起こしており、上告している。