食レポ定番フレーズ“コクがある”ってどういうコト? 大学教授→「3つの要素で数値化される総合感覚」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

食レポ定番フレーズ“コクがある”ってどういうコト? 大学教授→「3つの要素で数値化される総合感覚」

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 テレビなどの食レポでよく聞くフレーズといえば「コクがありますね〜」。シチューやカレーなどルゥをはじめ商品名や商品説明にも頻繁に使用されるコクですが、結局“コクがある”とはどういう状態なのか知っている人ってどれくらいいるのでしょうか。これまで筆者は、料理の味について感想を述べるとき「コクがある」と言う表現はあえて避けてきました。いったい“コクがある”とは具体的にどういう状態のことを指すのでしょうか? 料理における「コク」研究の第一人者である、女子栄養大学の西村敏英教授に話を聞きました。

「コクがあるとは、簡単に言えば様々な“複雑さ”があるということです。コクとは食べ物の味・香り・食感がもたらす刺激によって感じる総合感覚なのです。そして、その味わいがどれだけ“広がり”を持つか、どれだけ残るかという“持続性”……この3つの要素の強弱によってコクを定義することができます」(西村教授)

西村教授が定義するコクについて説明されている図

 この西村教授の説明にてコクとは、
【1】複雑さ【2】広がり【3】持続性
で定義できることが分かりました。そこでカレーを例に説明を求めたところ「カレーは野菜や肉などの具が煮込まれることでそれぞれが分泌する成分がスパイスと合わさります。そのため食べたときの複雑さが増します」とのこと。

カレーはスパイスや肉、野菜などから多種多様な成分が出ているためコクがある

 ほかに、醤油や味噌・チーズなどの発酵食品やワインなどにもコクがあるのは、熟成させることで“複雑さ”が増すためだそう。

発酵食品にもコクの要素となる“複雑さ”がある

 複雑さの“広がり”を感じるのに大きな役割を果たすのが「口中香」なのだそう。

「香りは味わいの感じ方にも大きな役割を果たします。カレーはコーヒーやニンニクなどの隠し味で、香りがより複雑になります。これがコクの広がりを助けているのです」(西村教授)

 そして“持続性”の強化に役立つのが「脂」だと西村教授は言います。

「脂には香りの成分が溶けやすく、脂を介して舌や鼻の粘膜に長くとどまることで持続性を発揮します。別の言い方をすれば“余韻”ですね」(西村教授)

カレーの隠し味に使用されるコーヒーはコクの広がりを助ける

 食べ物の「おいしさ」は個人によって異なる“主観的評価”なのに対し、「コクの有無」は食品に含まれる物質を分析して数値化することができるため“客観的評価”が可能だと西口教授は言います。

「コクは数値化できますが、その最適値は個人差があります。また『コク=おいしさ』ではないので、コクは強く深いほどいいというわけでもないのです」(西村教授)

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