焼肉店を訪れたある日、注文をしようとお品書きを見ていると「タン」「カルビ」「ロース」「ハラミ」「雑巾(ぞうきん)」……。
え、雑巾? 雑巾って何よ!? と興味がわいたのでとりあえず注文してみることに。
しばらくしてテーブルに運ばれてきたのは、タン、カルビ、ロース、ハラミ、そして雑巾。しかし、その見た目に私のなかにはハテナが浮かんだのですが、店員さんに聞いてみても「はい、これが雑巾です」と……。
いや、これはどう見てもホルモンの「センマイ」ですやん!
どうやら、この焼肉店では「センマイ」を「雑巾」と呼んでいるのだそう。それにしてもなぜ雑巾なのか? その答えは「厨房に来ればわかる」とのことでしたので、厨房に入らせてもらいました。
「これが調理前のセンマイです」と冷蔵庫から取り出してくれたものを見て納得。これはまさに雑巾(笑)。
下処理を施す前のセンマイ(牛の第三胃袋)には表面にプツプツとした突起物があり、それはまるでタオル生地の雑巾のよう。さらに、何重にもなっているヒダはミシンで縫った跡みたいに見えるし、なにせ色が……。食欲が失せたらごめんなさい。よく使い込んだ雑巾のようなグレーなんです。
店長さんが下処理の工程を見せてくれました。
洗ったりゆでたりしたあと、水気を切るためにセンマイのかたまりを両手でギュッと絞るんですが、それがまるで掃除の際にバケツの上で絞る雑巾のよう。