“酒米の王様”と言われている山田錦。その多くを生産している兵庫県のなかでも、地元産のブランド力を高めるための取り組みに熱心なのが、加西市の生産者と蔵元です。このたび、その地元の酒蔵「富久錦」を取材しました。
★加西市産山田錦を使った日本酒、世界的コンクールで数々入賞
1839(天保10)年創業の富久錦。その老舗のこだわりは、地元・加西市産の酒米100パーセントで純米酒のみを作ること。「これこそが真の地酒だ」と自負し、播州でしか醸せない純米酒を目指しているといいます。
その成果は、世界的なコンクールでの数々の入賞という実績で表れています。
世界でもっとも権威のある酒類のコンペティションの1つ、イギリスで行われる「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」(IWC)の第39回大会「2023 SAKE部門」において、「祝泡(しゅわ) 純米スパークリング」がリージョナルトロフィーを、「特別純米 山田錦」が GOLD(金メダル)を、「純青 山田錦 生もと(※)特別純米」がBRONZE(銅メダル)をそれぞれ受賞。他にも、フランスのワインコンクール「Kura Master」では「朔 R03BY」がカテゴリートップである審査員賞やプラチナ賞に選出。山田錦の純米酒も金賞を受賞しました。
これらの入賞した日本酒にはすべて加西市産山田錦が使われています。
(※)「もと」の漢字は、左がひよみのとり・とりへん、右が元
★加西市産山田錦の魅力とは…
富久錦の代表取締役社長を務める稲岡敬之さんによると、山田錦の特長は、「風味とバランスの良さ」。
山田錦は、作る人や場所によって味も風味も変わる酒米と言われますが、今回の受賞によって「加西の山田錦の質が高いということが証明できた」と稲岡社長はにこやかに語っていました。
地元・加西の人とつながり、意見を交わしながら地域一体となって日本酒を作っているという富久錦。「加西の山田錦農家は頑張っているので、そのブランド・名声を高めるよう、良いお酒を作っていきたい」という思いを胸に、丹精込めた酒造りはこれからも続きます。