神戸は「日本のソース発祥の地」だった 豚まん・そば・カレー…何にでもソースをかけるってホント? | ラジトピ ラジオ関西トピックス

神戸は「日本のソース発祥の地」だった 豚まん・そば・カレー…何にでもソースをかけるってホント?

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 生まれも育ちも神戸市中央区でサブカル郷土史家の佐々木孝昌(神戸史談会、神戸史学会・会員)が、北区出身で落語家の桂天吾と、神戸のあれこれについてポッドキャストで語る『神戸放談』(ラジオ関西Podcast)連載シリーズ。今回のテーマは、「ソース」です。

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「あなたは、醤油派か? ソース派か?」。話のタネなどで、よくある質問である。個人の好みの問題だろうが、関西、特に神戸や大阪はソース文化ではないだろうか。

 関西は、うどんや出汁の食文化があり、何といっても兵庫県たつの市にはヒガシマル醤油といった大手がある。だが、全国的に見ても関西や神戸にはソースメーカーが集中している。日本ソース工業会に加盟しているメーカーに限ると、兵庫県5社(内、神戸市3社)、大阪府8社、京都府6社ある。非加盟も入れると、現在、神戸市内には6社あるのだ。

 神戸は、日本のウスターソース発祥の地と言われている。1885年創業で今も東灘区に現存する阪神ソースが、日本で最初にウスターソースを製造したとされている。

「とんかつソース(濃厚ソース)」はといえば、1923年に兵庫区で創業したオリバーソースが、1948年に日本で最初に“とろみのある濃厚ソース”として製造したのだ。これがきっかけで、戦前はお好み焼きにはウスターソース(もしくは醤油)がかけられていたが、「とんかつソース」が使われだして広まっていくようになる。ちなみに、日本初の「お好み焼きソース」は、広島市のオタフクソースが1952年に発売している。

日本初の「とんかつソース」は、1948年にオリバーソースが発売した(写真提供:オリバーソース株式会社)

 つまり、神戸は日本におけるウスターソースと濃厚ソースの元祖である。神戸っ子が何でもかんでもソースをかけたって、おかしくないってわけだ。濃厚ソースの場合は、お好み焼きやたこ焼き、カツやハンバーグなど洋食がメインだが、ウスターソースはより用途が多いのでは。

 僕の母などは、現在81歳の生粋の神戸っ子だが、目玉焼きはもちろんカレーライス、コロッケ、カキフライ、焼きめし、炒め物、冷めた天ぷらまで、何でもウスターソースをかけて食べる。また、明石焼は出汁につけず濃厚ソースを塗ってそのまま食べる。

 神戸や明石の明石焼(玉子焼)店には、出汁で食べるのが前提なのに濃厚ソースが置いてある店があるのだから面白い。神戸の兵庫区・長田区の下町には、濃厚ソースを塗ったたこ焼きを、出汁にひたして食べる「神戸たこ焼き」さえある。


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