兵庫県加西市をはじめとした北播磨は、酒米の王者“山田錦”の一大生産地。酒米の農家や、日本酒の蔵元なども多数存在するエリアだが、現在コロナ禍の影響で日本酒の需要が激減している。そのなかでも奮闘する加西の山田錦やお酒を支える人々に話を聞く。
加西市北条町の「四季創庫モリ」は、日本酒・焼酎・ワインの他、おつまみや本格調味料、無添加食品も取り揃えている酒店。店名の由来について、「お酒にも、夏の生酒や秋の冷おろし、冬のしぼりたて新酒など四季折々の違いがあることから店名にも“四季”をつけた」というのは、店主の森さん。
扱う商品は加西市のものが中心で、特に酒は店主である森さんが試飲してから店頭に並べることもある。日々、さまざまな酒蔵のお酒と出会うなか、「お酒の味を決めるお米とお水は酒蔵によって異なりますし、そこに、さらに酒蔵さんの気持ちが入ることで良いお酒ができるのだと思います」と、それぞれの特徴をくみ取りながら、品々を揃えていく。
天保10年(1839年)から続く老舗で、平成9年(1997年)度から加西市内の酒米のみを使用した酒づくりを行っている酒蔵「富久錦」との交流が深い、四季創庫モリ。酒の販売だけでなく毎年オリジナルの日本酒づくりにも取り組むなか、富久錦に依頼してできた2021年度の新酒「荒走り」は、森さんいわく「甘味が抑えられ、酸が強いスッキリとした味わい」と、その出来ばえに自信を示す。
一方で、森さんは「コロナ禍の影響で家飲みの需要は上がっていますが、外出自粛が呼びかけられているため飲食店への売り出しというのは低迷気味です」と、経営の実情を明かす。まだ収束の兆しが見えない現在については「(新型コロナウイルス感染拡大で)大変な1~2年でした。まだ完全には収束していませんが、日常に戻りつつある部分もあるので、早く元の日常に戻ってお酒を楽しんでもらいたい」と思いを語っていた。
それでも、森さんは「新酒は、しぼりたてならではのフレッシュさとフルーティーさが特徴で、日本酒を飲んだことがない人も飲みやすいお酒。これをきっかけに、1人でも多くの人に1本でも多く(日本酒を)飲んで欲しい」と呼びかけていた。
※ラジオ関西『PUSH!』2021年11月17日放送回「加西山田錦!酒ものがたり」より
■四季創庫モリ
【公式HP】