1970年代から1980年代にかけてフォークと演歌の特徴をあわせ持つ“フォーク演歌”と呼ばれる楽曲が多数ヒットしました。 その成り立ちや魅力についてシンガーソングライター・音楽評論家の中将タカノリと、シンガーソングライター・TikTokerの橋本菜津美が、リアルタイムで当時を体験した兄弟デュオ「狩人」の高道さんとともに語り合います。
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【中将タカノリ(以下「中将」)】 菜津美ちゃんは現在28歳。1970年代には影も形もなかった世代ですが、フォークというジャンルに対してどんなイメージを持ってますか?
【橋本菜津美(以下「橋本」)】 私は森山直太朗さんが好きなんですが、よく昔のフォークソングをカバーしておられるんですね。だから私にとってのフォークは、男性的でかっこいいイメージなんですが……。
【中将】 若い世代は森山さん等のカバーを通してフォークを知るんでしょうか。面白いです。
もともと、日本で「フォークソング」は主にアメリカ民謡を指していました。それが1960年代に入り政治的な主張と結び付いてプロテスト・ソング(protest song)になったり、ロック、ポップスと結び付いてニューミュージックになったり、演歌・歌謡曲と結び付いてフォーク演歌になったりしました。
【橋本】 フォーク演歌と言われると私は全然ピンとこないですね……。どんなものなんでしょうか?
【中将】 音楽的な定義はないのですが、あえて言うなら叙情的、文学的でこぶしを使わないスタイリッシュな演歌でしょうか。逆に、演歌っぽいフォーク系ポップスとも言えます。
今回はそんな楽曲を紹介していくのですが、生き証人としてちょうどフォーク演歌が全盛の1970年代後半に「狩人」でデビューした高道さんをトークゲストに迎えております。