「御室の桜も一目見たら、春の義理が済んだようなものや」
川端康成の小説『古都』に出てくる台詞そのままに、今年は世界遺産・仁和寺(京都市右京区・真言宗御室派総本山) で、多くの人が一目、”春の義理”を果たした。
新型コロナウイルスと向き合い3年目の春を迎える。決して収束したわけではなく、油断できない日々が続いている。しかし、3月末にまん延防止等重点措置が解除され、大型連休にかけて行動規制がない中、御室桜をめでる人々の表情が優しい。
御室桜は京都の遅咲きの桜の代表格とされる。5月に入り、青もみじとの競演も楽しめる。その先に、国宝・金堂が見える。
この金堂前で2021年11月、オペラと仏教の声楽のコラボレーション公演「オペラショウ」が開催された、秋の夜、屋外に設けられた観客席で約350人が、久々に触れる舞台芸術に酔いしれた。
仁和寺・金堂は、 寛永年間(1624年~1644年)に京都御所内裏の正殿「紫宸殿」(ししんでん)を移築したもの。せり出した廊下を特設ステージに、コンピューター音楽とデジタル映像を組み合わせた“音と光のページェント”が繰り広げられた。