◆怒りと落胆~遺族、控訴へ「納得いかない 胸が張り裂ける思い」
2015年、兵庫県警機動隊に所属していた男性巡査(当時24歳)が自殺したのは所属していた機動隊で先輩や上司から受けたパワーハラスメントなどが原因だとして、広島市の両親が兵庫県に約8千万円の損害賠償を求めた訴訟で、神戸地裁は22日、両親に100万円の支払いを命じた。
神戸地裁は先輩や上司のパワハラ行為は認め、うつ病の発症も認定したが、自殺に至るまでの因果関係は認められないとした。原告(遺族側)は控訴する。
死亡した巡査・木戸大地さんは広島市内の高校を卒業後、2009年に兵庫県警に採用された。2012年から機動隊で勤務し、2015年7月ごろにうつ病を発症して同年10月に神戸市内の宿舎で首つり自殺した。 訴状や遺族への取材によると、大地さんは日常的に上司や先輩からの暴言を浴びていたという。具体的には、朝の訓練に参加しなかったとしてスクワットをさせされたり、宴会での裸踊りの強要のほか、「ミス一覧表」の作成を命じられたりしたとしている。
こうしたこうした中、先輩の巡査長から技能試験のカンニングを事実ではないのに認めるよう迫られるようになった。2015年10月6日、大地さんのカンニング疑惑を先輩が延々と追及したとされる。大地さんはスマートフォンで同僚の機動隊員に「(先輩が)ずっとつきまとってくる」「ほんまにきつい」とメッセージを送った数時間後、宿舎の自室で首をつっているのが見つかり、10月15日に亡くなった。
自殺する約3か月前から、大地さんにはうつ病の症状がみられたという。婚約者との結婚準備が進んでいた大地さんの部屋から遺書が見つかり、実家の家族と婚約者、それぞれに向けて先立つことへの謝罪がつづられていた。しかし、先輩隊員に宛てたものには「あなたの思い描いた通りになってよかったですね。もうあなたに関わることはない」と記されていたという。