民法の改正により、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられてから2022年10月で半年が経った。兵庫県立消費生活総合センターは、成人を迎える前と後ではトラブルに巻き込まれるリスクに大きな差があるとして、注意を呼び掛けている。同センターの大久保徹雄・所長に話を聞いた。
――高校在学中に成人を迎える人も出てきていますね。
はい。選挙権年齢は、一足先に2016年から18歳以上に引き下げられましたが、今回の法改正ではさらに「できること」が増えました。18歳以上であれば、10年有効のパスポートが取れるようになったり、公認会計士などの国家資格が取得できるようになったりしています。一方で、お酒やたばこ、それに競馬や競輪と言った公営競技は20歳以上のままです。ほかには、女性の結婚できる年齢は16歳から18歳に引き上げられました。
――いいことの方が多い気がしますが。
18歳で成人となるということは、言い換えれば、「契約が、親や保護者の同意なしにできるようになる」年齢が18歳に引き下げられたということです。「契約」にもいろいろあって、日常の買い物から金融機関でお金を借りること、家を買うことなど、すべてが「契約」です。未成年者は、これまで、お小遣いの範囲で契約(買い物)をしてきましたが、成人はもう「大人」ですから、高額な商品の契約が本人の意思でできるようになったのです。
――急にそんなことを言われても……と感じる人も多いでしょうね。
例えば、2022年の春に高校を卒業し、大学進学に際してアパートを契約する場合、3月までは保護者の同意が必要だったのですが、4月以降は保護者の同意なしに契約を結ぶことができるようになりました。逆に言うと、子供が結んだ契約を、親が取り消しをできなくなったと言うことです。
――個々の責任が大きくなった、ということですね。
そういうことです。未成年者が保護者の同意なしに契約した場合、法律上、「未成年」ということで契約を取り消すことができます。しかし、成人年齢の引き下げにより、18歳・19歳の若者は「未成年者取消権」が使えなくなりました。一度契約したら、簡単には取り消すことができないので、契約するときの責任が重くなったと言うことです。
――具体的に、気を付けるべき事例にはどのようなものがあるのでしょうか。