身の回りには「毒」がいっぱい 毒とは何かを考える「毒」展 大阪市立自然史博物館 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

身の回りには「毒」がいっぱい 毒とは何かを考える「毒」展 大阪市立自然史博物館

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 身の回りのものから自然界に存在するあらゆる「毒」について、動物学、植物学、地学、人類学、理工学の5つの研究分野のスペシャリストが徹底的に掘り下げ、それぞれの視点で解説する特別展「毒」が、大阪市立自然史博物館・ネイチャーホール(大阪市東住吉区)で開かれている。2023年5月28日(日)まで。

展示風景

「毒」というと、基本的にヒトを含む生物に害を与える物質として理解されている。一方で薬効を持つものもある。「生物に何らかの作用を与える物質」のうち、人間にプラスに働くものを薬、マイナスに働くものを毒と呼んでいる。会場にはそんな「毒」がおよそ250点集められた。動物学、植物学、地学、人類学、理工学のスペシャリストが徹底的に掘り下げ、それぞれの視点で解説する。

 生物が毒を持つのは、攻めるためと身を守るために大きく分けられる。会場に入ってまず目を引くのは、「毒」のイメージが強いハブとオオスズメバチの拡大模型だ。いずれも「攻撃するため」に毒を持ち、「オオスズメバチはこんな体勢で襲ってくる。模型の下に立つとハチと目が合い、まるで襲われるような気分を味わえる」と長谷川匡弘・大阪市立自然史博物館学芸員は話す。

オオスズメバチの拡大模型
オオスズメバチの拡大模型
ハブの拡大模型
ハブの拡大模型

 植物は「ほとんどが身を守るための毒を持つ」という。日本の三大有毒植物とされる「トリカブト」「ドクウツギ」「ドクゼリ」は、循環器系や神経系に強く作用し、時には死に至る。ドクゼリは身近な水辺にも生息しており、誤って食べないよう注意が必要だという。海洋にもクラゲやエイ、トラフグなど様々な有毒動物がいる。例えばイモガイ類は、見た目の美しさから手に取ることもあるが、「目にもとまらぬスピードで毒を打ち込んでくる」(長谷川学芸員)。

ベニテングタケ
ベニテングタケ 有名な毒キノコだが致命的ではない
マツタケ(右)とカキシメジ
マツタケ(右)とカキシメジ(毒キノコ)

 毒キノコも取り上げる。食べたらどうなるか、症状ごとに紹介するほか、食用と間違えやすいものも並べて展示する。一般には食用とされるキララタケ。アルコールと一緒に食すとアルコールを分解する酵素の作用を阻害し、「悪酔い」するという。また「触ってもいけない」というカエンタケは、うっかり触ると皮膚がただれるような症状が出ることがある。

 このほか、自身が有毒動物であることを周囲に示し、その動物と外敵の双方にとって無用の争いを避けるための「警告色」を持つものや、有毒植物であるユーカリを食べても「耐える」コアラなども取り上げる。

キオビヤドクガエル 黄色と黒の縞または斑点模様の「警告色」
キオビヤドクガエル 黄色と黒の縞または斑点模様の「警告色」
防御姿勢をとるアカハライモリ(腹面の警告食を見せている)
防御姿勢をとるアカハライモリ(腹面の警告食を見せている) 
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