兵庫県の夏の味のひとつといえば“そうめん、やっぱり揖保乃糸”のフレーズでお馴染み、手延べそうめん「揖保乃糸」を思い出しませんか? 家庭で味わうのはもちろん、贈り物にもぴったりな県を代表する名産品ですよね。
そうめん自体の歴史は古く、食べられ始めた正確な時期ははっきりとしていないそうですが、967年には原型である「索餅(さくべい)」が中国で作られていました。中世になると「索面(さくめん)」と呼ばれ、それが訛って現在は「素麺(そうめん)」と呼ばれるようになりました。
揖保乃糸の名産地である播磨地域では、今も当時からの製法である「手延べ」を守り続けています。そもそも揖保乃糸とは、厳しいチェックを経て選ばれた製品だけが使用できる商標なのです。というのも、そうめん自体の製造所課は播磨地域に約400軒あり、その全てが兵庫県手延べそうめん協同組合に加入しています。同組合は生産者に材料を渡して製造を依頼、できあがったそうめんは組合所属の検査員がチェックを行います。全ての厳しい項目を通ったそうめんだけが、揖保乃糸として販売することが可能となるのです。それだけこだわっているからこその品質であり、おいしさというわけ。
さて、揖保乃糸は1把ごとに紙の帯で麺をまとめていますが、その色が違うということをご存知でしょうか。代表的なのは赤と黒の2種類です。
赤帯は、生産量の8割を占めている「上級品」。黒帯は、お中元やお土産といった贈答用として販売されている「特級品」です。主な違いは、生産時に使用している小麦粉。赤帯より黒帯の方が、高級な小麦粉を使用しているのです。麺の太さは黒帯の方が細く、同じグラム数でも本数としては黒帯の方が多くなっています。細かい部分では、生産する時期の違いや職人の熟練度など多岐に渡ります。
そんな揖保乃糸の歴史を学べる施設が、兵庫県たつの市にある「揖保乃糸資料館そうめんの里」です。1階は職人によるそうめん作りの実演・試食のコーナーや売店お食事処「庵(いおり)」があり、2階にはそうめんの加工場と歴史がわかる展示室があります。また、駐車場では夏季限定で流しそうめんが体験できるイベントを開催しています。
資料館の売店では揖保乃糸として販売されている全ての商品がラインナップ。あわせて販売している麺つゆは、揖保乃糸に合うよう特別にカスタムされたコラボ商品だそう。さらに食事処「庵」では、数量限定メニュー「そうめん巻き寿司」やそうめんを使ったデザートが楽しめるとのことです。
※『谷五郎の笑って暮らそう』「ぐるっと西播磨」2023年8月8日放送回より