上司が語る「パワハラではない 厳しい指導、必要だった」兵庫県警・機動隊員自殺問題 控訴審結審 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

上司が語る「パワハラではない 厳しい指導、必要だった」兵庫県警・機動隊員自殺問題 控訴審結審

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 兵庫県警機動隊に所属していた男性巡査(当時24歳)が自殺したのは、所属していた機動隊で先輩や上司から受けたパワーハラスメントなどが原因だとして、広島市の両親が兵庫県に約8千万円の損害賠償を求めた控訴審の第2回口頭弁論が13日、大阪高裁で開かれた。

大阪高裁
入廷する木戸大地さんの父親・一仁さん夫妻、市川守弘弁護士<2023年10月13日午後 大阪市北区>

 亡くなった巡査・木戸大地さんは広島市内の高校を卒業後、2009年に兵庫県警に採用された。2012年から機動隊で勤務し、2015年7月ごろにうつ病を発症して同年10月に神戸市内の宿舎で自ら命を絶った。

 遺族(原告)と兵庫県(兵庫県警=被告)いずれも控訴。一審・神戸地裁判決は、パワハラがあったと認めて100万円の賠償を命じる一方、自殺との因果関係を否定した。

 遺族は「上司がパワハラを放置しなければ、(大地さんの自殺)防げた」と主張している。控訴審では、安全配慮義務違反があったかどうかが争点となっている。

 この日、大地さんの直属の上司だった警察官(元上司)の証人尋問が行われた。

 元上司は「(大地さんについて)何度もミスを繰り返し、改善されなかった。やはり厳しい指導は必要だった」と述べ、「パワハラではない」と否定した。

 そして、大地さんの印象について、「いつもにこやかで性格も良く、現場での活動能力はあるが、だらしない一面があった」と振り返った。

 しかし、「部隊車両の運転をやめてしまえ」と恫喝されたり、「お前、ミス何回目や、自覚あるんか」と先輩警察官から叱責されたことについては、「不適切だとは思わなかった」と振り返った。

 遺族が不審に思ったのは、先輩警察官が「ボケ木戸」と書いた付箋(ふせん)を帳簿に貼りつけたことを、元上司が「覚えていない」と話した点だ。兵庫県警は一審・神戸地裁の審理で、これらの事実をおおむね認めていた。

 閉廷後に会見した原告代理人の市川守弘弁護士は、「機動隊内部のレイアウトなどを鑑みれば、どう考えても不自然だ」と首を傾げた。また「元上司が止めていれば自殺は防げた。組織として、どのように指導・監督していたかを問う裁判だ」と強調した。

 このほかにも、元上司は「個別のこと、具体的なことは覚えていない」と話すにとどまった。

 大地さんの父親・一仁さんは「大地がなくなって8年間、戦い続けて疲れている。大切なことは、自殺に至るまでに、いったい何があったのかを明らかにすること。そうしなければ大地の命が浮かばれない。きっちりと非を認めないと、兵庫県警のパワハラ体質は変わらない」と話した。

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