薄い生地・トルティーヤに肉や野菜などの具材をたっぷり乗せ、2つ折りに挟んだ「タコス」。日本でも愛されるメキシコ料理の一つです。しかし、日本で提供されるものは、本場の食べ方とまったく違うのだとか。福岡県を中心にメキシコ料理店「エルボラーチョ」を運営する株式会社EFM(本部:福岡市)の青木さんに話を聞きました。
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青木さんは、メキシコではタコスに欠かせないトルティーヤがかなり重要だと言います。日本でトルティーヤとタコスは混同されがちですが、タコスは料理名でトルティーヤは生地そのものを指します。「例えるなら、丼ものとご飯という感じでしょうか」と青木さん。
「メキシコではトルティーヤが主食として浸透しています。日本でのトルティーヤの食べ方として定番なのは具材を挟むスタイルですが、メキシコはもっと多彩。料理の上にのせたり生地に包み込んで揚げたり、揚げたトルティーヤをスープで煮たり。さまざまな形で食べられていますね」(青木さん)
トルティーヤにマリアージュさせる食材はかなり自由。野菜や肉・魚など実にさまざまで、日本で言うところの“米的存在”であることがうかがえます。ちなみに、「チミチャンガー」というデザート系メニューも存在。トルティーヤでバナナを包み揚げ、キャラメルソースとバニラアイスがトッピングされているそうです。
メキシコと日本では、そもそもトルティーヤの原料や食感に違いが。「メキシコのトルティーヤは基本的にとうもろこし粉で作りますが、日本はアメリカ文化から影響を受けた経緯があるので小麦製が一般的なようです。日本にもとうもろこし製のトルティーヤはありますが、その場合“パリパリ食感”であることがほとんど。メキシコは同じコーントルティーヤでありながら、とても柔らかいんです。本場を訪れた日本人はきっと驚くのではないでしょうか」と語る青木さん。また、日本ではタコスにはチリ風味のミンチ肉が添えられていますが、これも厳密に言うとメキシカンスタイルではないとのこと。
「日本ではミンチ肉と野菜を挟んで食べるのがスタンダードのようですが、メキシコではあまり見かけません。というのも、日本で浸透しているタコスは正確に言えば『テクス・メクス』と呼ばれる“メキシコ風アメリカ料理”だからです」(青木さん)
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小麦粉製がメジャーな日本ですが、コーントルティーヤも国内購入が可能。使ってみると、より本場の「タコス」に近づけるかもしれません。
(取材・文=つちだ四郎)
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エルボラーチョ 公式サイト