8日に吉田孝行氏の監督退任と、トルステン・フィンク氏の新監督就任が発表され、今季2度目となる指揮官の交代のなかで再出発となる、ヴィッセル神戸。ただし、フィンク新体制初陣となる明治安田生命J1リーグ戦第15節では、アンドレス・イニエスタ、ルーカス・ポドルスキが負傷欠場を余儀なくされる見通しで、DFの要であるダンクレーと、中盤の舵取り役であるセルジ・サンペールが出場停止。核となる選手たちが不在のなか、首位のFC東京との一戦に臨むことになる。それでも、今だからこそ期待がかかるのは、若い力の台頭。ラジオ関西『GOGO!ヴィッセル神戸』の6月10日の放送では、そのなかで、DF藤谷壮(21)、MF増山朝陽(22)、中坂勇哉(21)のコメントを届けた。
スピードをいかした攻撃参加を武器に、各年代の日本代表で実績を持つ藤谷壮。神戸生え抜きの「右の翼」への期待は高い(写真:ラジオ関西)
3選手とも、1997年生まれで、いわゆる東京五輪世代にあたる。それぞれ年代別代表の招集歴も持つが、最近ではチームでなかなか出番を得られなかったり、ケガの影響などもあり、「第47回トゥーロン国際大会2019」に挑むU-22日本代表や、久保建英をはじめ若手中心の構成となっている「CONMEBOLコパアメリカブラジル2019」日本代表には名を連ねることはできなかった。
それでも、あと1年にせまった自国での檜舞台を決してあきらめたわけではない。そして、そこを目指すためにも、3選手の思いは共通する。それは、神戸で出番を勝ち取り、活躍することだ。「やっぱりチームで試合に出て(スタッフらに)見てもらうことが、選ばれるためには大事。チームのなかでしっかりやっていきたい」(藤谷)、「まだ1年あるので、その人たちに負けないようチームで結果を出して、そのためにはまず練習でもしっかり結果を出さなければいけないので、日ごろからしっかり一つひとつの練習を見直しながらやっていきたい」(増山)、「もちろん選ばれたいと思っていますが、とりあえず自分のチームで試合に出て結果を出さないと選ばれないところだと思っているので、しっかり自分のチームで少しでも試合にからめる機会を増やしたい」(中坂)。
東福岡高校時代は「ヒガシのクリロナ」と呼ばれた増山朝陽。そのドリブルが神戸でさらなる輝きを見せることが待望されている(写真:ラジオ関西)
藤谷と中坂は前節のジュビロ磐田戦で今季リーグ戦初出場。また、増山もここまでリーグ戦では第8節浦和レッズ戦での途中出場のみと、今季はなかなか出番に恵まれていない。ただ、中断期間中に行われたトレーニングキャンプでは、「いいプレーをどんどん続けて、自分のストロングポイントである、前への勢いや、仕掛ける部分だったりをいかしつつ、ゴール前でもっともっと精度の高いプレーができるように常に考えてやっていく」という増山をはじめ、活発な動きを披露。彼らも準備はできている。藤谷のスピード、中坂のテクニック、増山のドリブルは、相手にとって脅威となるのは、過去のプレーでも示しているだけに、そのアグレッシブさを発揮して、チームの攻撃に迫力をもたらしたい。
物おじしない度胸のよさと技術の高さが特長の中坂勇哉。攻撃にスパイスを加えることができる稀有の存在だ(写真:ラジオ関西)
フィンク新監督は、過去に率いたチームで、スイス代表のジェルダン・シャキリ(現リヴァプール/イングランド)やグラニト・ジャカ(現アーセナル/イングランド)、韓国代表のソン・フンミン(現トッテナム/イングランド)らが若手のときに積極的に起用した経験を持つだけに、チーム内競争がリセットされる今こそ、彼らにとっては飛躍へのチャンスとなるかもしれない。また、この逸材たちが活躍することこそ、クリムゾンレッドの未来に希望の灯をともすことになるはずだ。
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