神戸製鋼の社員とともに記念撮影におさまる、ラグビー日本代表ワールドカップメンバーのアタアタ・モエアキオラ(写真下、左から2人目)と山中亮平(写真下、右)の両選手(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)。神戸製鋼本社にて(写真:ラジオ関西)
日本ラグビーフットボール協会は、29日、9月20日に開幕するラグビーワールドカップ(RWC)2019日本大会に出場する日本代表メンバー31人を発表した。神戸市を本拠地とする、神戸製鋼コベルコスティーラーズからは、4人の選手が選ばれた。いずれもポジションはバックスで、最年少での選出となったアタアタ・モエアキオラ(23)と、山中亮平(31)が、神戸製鋼本社で記者会見に臨んだ。
トンガ出身のモエアキオラは両親に報告し、「(W杯メンバー入りを)とても喜んでくれた」と笑み。「今まで日本で関わってくれた方に恩返しがしたく、日本代表を目指した。強いラン、力のあるランを見せたい」と日本代表の一員として強い意気込みを示した。
また、念願のW杯メンバー入りとなった山中は、「名前が呼ばれて、ほっとした気持ちと、メンバーに入ることができて、うれしい気持ちでいっぱい」と率直な心境を吐露。一時は2年間の出場資格停止処分を受ける苦難の時代もあったが、「ラグビーを続けさせてくれる、帰ってこれる場所を作ってくれたのが、神戸製鋼と平尾さん。ラグビーを続けてこられて、感謝の気持ちでいっぱい」と、恩師の故平尾誠二氏や会社への感謝を述べるとともに、「W杯の日本開催の誘致に尽力された平尾さんには、W杯の舞台で活躍する姿を見せるのが恩返しだと思っている。日本で結果を出すことで、ラグビーを盛り上げることにつながる。結果を求めてやりたい」と、自国での晴れ舞台での奮闘を誓っていた。
なお、神戸製鋼コベルコスティーラーズから選出され、今回の会見には出席できなかったFW中島イシレリと、バックスのラファエレ・ティモシーのコメントについては、神戸製鋼コベルコスティーラーズの公式サイト(https://www.kobelcosteelers.com/news/information/2019/08/rwc20194.php)で公開されている。会見でのモエタキオラ、山中の両選手コメントは下記の通り。(春名)
ラグビー日本代表ワールドカップメンバーのアタアタ・モエアキオラと山中亮平の両選手(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)が神戸製鋼本社で記者会見に臨んだ(写真:ラジオ関西)
●アタアタ・モエタキオラ選手
「選ばれたときは、とてもうれしかった。トンガに電話し、父親と母親に伝えた。とても喜んでくれ、うれしかった。自分の強みである、フィジカルがアピールできたのではないか。試合に出て活躍したい。(トンガ代表ではなく、日本代表を目指した理由は)日本に初めて来たとき、ラグビーのことはあまりわからなかったが、日本で大きく成長できた。今まで日本で関わってくれた方に恩返しがしたく、日本代表を目指した。強いラン、力のあるランを見せたい」
●山中亮平選手
「(過去に2度、候補選手に選ばれながら選出はならず)自分の名前が呼ばれて、ほっとした気持ちと、メンバーに入ることができて、うれしい気持ちでいっぱい。まず家族(妻)に伝えた。4年前も最後までいたが外れてしまった。それからの4年間は代表に入ったり入らなかったり、苦しい時期もあったが、あきらめず、W杯に出たいという気持ちだけでやってきた。この4年間やってきてよかった。目標はメンバーに選ばれることではなく、試合に出て、いい結果を出すことだ。
(薬物検査陽性反応問題で、2011年に2年間の出場資格停止処分があり)ラグビーのできなかった2年間は、神鋼の総務部にいた。何もわからない状態で総務部に入って、いろいろ教えてもらいながら仕事をした。社会人として、人間として、成長できたと思う。復帰に向けて必死に頑張っていた、このことしか覚えていない。ラグビーボールも触らず、ウエイトトレーニングを積んできた。
平尾誠二さん(神戸製鋼のOBで、チームの総監督も務めた。2016年に死去)は、1度チームを退団した自分に、社員として残る道を与えてくれ、復帰への道を作ってくれた。「期待している」と言ってくれて、それに応えたい一心でやっていた。
ラグビーを続けさせてくれる、帰ってこられる場所を作ってくれたのが、神戸製鋼と平尾さん。ラグビーを続けてこられて、感謝の気持ちでいっぱい。必死でやってきて、メンバーに入れたことは平尾さんも喜んでくれると思う。そのことをまず伝えたい。
W杯の日本開催の誘致に尽力された平尾さんには、W杯の舞台で活躍する姿を見せるのが恩返しだと思っている。日本で結果を出すことで、ラグビーを盛り上げることにつながる。結果を求めてやりたい。
昨年、ポジションがフルバック(FB)に変わり、チーム(コベルコスティーラーズ)も雰囲気がガラッと変わった。トップリーグで優勝できたのが大きかった。センターで出るのが厳しい状況で、フルバックになった。今までやったことがなく、たくさん勉強したし、原点に戻った感じがして、転機になったと思う。センターのままでいれば、今回選ばれたかわからない。
やっとの思いでとどいたW杯。自分もそうだが、ラグビー選手にとってW杯は目標。4年前はメンバー入りがかなわず、ラストチャンスだと思ってやってきた。このW杯に懸けていた。1年前、2年前には自分が入るなど、だれも思っていなかったと思う。
対戦相手に弱いチームはない。しっかりとした準備が大事になってくると思うし、ここまではいい形で来ている。このまま勝っていって、日本代表一丸となって進みたい。(自身の目標としては)ひとつでも試合に多く出て、しっかり結果を出して、4年前よりもいい結果を狙いたい」
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