第26回 中村佑介さん(2018年6月)
第26回のパーソナリティインタビューは『中村佑介の一期一絵』(毎週金曜 23:00~23:20放送)でパーソナリティを務める中村佑介さんにご登場いただきます!
ASIAN KUNG-FU GENERATION、さだまさしのCDジャケットや、『謎解きはディナーのあとで』をはじめとする書籍カバー、最近では阪急電鉄のラッピング列車を手掛けるなど、数々の人気作品を世に送り出すイラストレーター・中村佑介さんによる初のラジオレギュラー番組『中村佑介の一期一絵(いちごいちえ)』が、この4月からスタートしました!
地元で念願のラジオ番組に挑戦し、鋭い感性と『ほんわかキャラ』で、日々出逢ったコトやモノについて語る20分間が好評を博すなか、中村さんにラジオや番組への想いを伺います。
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なっちゃん(池田奈月アナウンサー)が誘ってくれたので、二つ返事で「ぜひとも!」と。
ラジオ番組初レギュラーへの想いを聞かせてください。
昔からラジオ番組をやりたい夢を持っていました。でも、僕の場合はタレントでもないし、いちイラストレーターというよりただリスナーとしてラジオが好きで、自分でずっとインターネットラジオとかもやっていたものの、民放では難しいんだろうなと思っていました。そう思っていたところに『なっちゃん』(池田奈月アナウンサー)が声をかけてくれたんです!
なっちゃんが僕の大阪展覧会のときにインタビューしてくださって、すごい話しやすいというか、「かゆいところに手が届くようなインタビューを、関西でもされる方がいるんだ」って驚きましたし、そんななっちゃんが誘ってくれたので、二つ返事で「ぜひとも!」と。
番組でコンビを組む池田アナウンサーの存在は本当に大きいですね。
ラジオ番組を担当されて、リスナーとのやりとりなど、新鮮な感覚などはありますか?
今はインターネットがありますし、ラジオもハガキよりメールでの反応が多くなってきているので、距離感という点では、「ラジオだから」というメリットは特にないのかもしれません。
でも僕にとって、やっぱりラジオの仕事は憧れだったので。学生を卒業して15年くらいずっとネットラジオや講演会を続けていたので、自分をプロモーションする話し方はできるんですけど、ラジオでは毎回違ったお題を20分にまとめるというような、そういう能力が本当に全然まだないので。
それはすごく勉強になりますね。『ストーリー漫画』じゃなくて、『四コマ漫画』を描く形にしなければいけないというか。そこが面白いですね。
今、できないことがあればあるほど、すごく楽しいですね。
「あっ、今回できるようになった」と毎回放送のたびに喜んでいます。
番組では、いい意味で突っ走られる中村先生と、そこでしっかりとコースをとっていく池田アナウンサーと、役割ができている感じがします。
もう、『なっちゃん』の掌で転がされているだけでございます(笑)。
それはともかく、ラジオというのはたぶんそうだと思うのですが、この番組の場合だと、僕と池田アナウンサーの関係性において、僕と池田アナウンサーが仲良くないといけないし、信頼しあっていないと、リスナーの方ひとりひとりが「その空間(番組)に入りたい!」とは思えないと思うんです。
だから、リスナーとパーソナリティとの距離感というのをより近くに感じてもらうためにも、もっと(番組を)続けていって、あ・うんの呼吸を仕上げていかないといけないんだなと思います。
『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉著(小学館刊)
イラストとラジオのつながりはどう感じられていますか。
あまりそこを考えていません。ほかにも文章を書く仕事や、音楽活動(バンド『セイルズ』)をやっていたりしていますが、「この表現だからこの媒体を選ぶ」とかそういうことではなくて。
ただ、(ラジオ番組を新たに担当することなど)できないことがあって、教えてくれる人がいるという環境は、本当にありがたいと、楽しいと思うんですよね。大人って、怒られないというか、新しいことを勉強するなら、自発的に本を読むくらいしかできなくなります。特に僕はフリーランスなので、自分のイラストというのは、自分が王様というか、自分会社の社長で、そしてまた別の自分を働かせている感じなんですが、ラジオはそういうのではないので。今、できないことがあればあるほど、すごく楽しいですね。「あっ、今回できるようになった」と毎回放送のたびに喜んでいます。
だから、あまりイラストとラジオの仕事は別で、逆に、そこに甘えたらいけないというものがラジオだと思うんですよね。僕も、絵の話を聞かれたときはしますし、イラストレーターというユニークな立場で話すことはあっても、「僕のイラストはご存じのとおり~」みたいな前提で話すことは、たぶんやっちゃだめなんですよね。すると、新しいリスナーとは知り合えないですもんね。
音楽の教科書『高校生の音楽1』(教育芸術社)
聞いている人の生活の習慣のなかに入っていくことが目的であり、理想ですね。
さて、中村さんが考えるラジオのよさとは?
〈ビジュアルがない〉ということですね。同じトーク番組でも、たとえばテレビだと、視聴者はあくまで観覧者として参加して、良くも悪くも、自分が輪の外にいる雰囲気があります。
でも、ラジオは音だけを頼りに、頭の中で空間を想像しているから、例えば客席ではなく、『徹子の部屋』のあのソファに自分も座っているような勢いで楽しめるイメージがあるんですよね。ラジオのよさってそれですよね。また、ビジュアルがないからこそ、イメージが柔らかく変換されて、多少羽目を外したような発言が許されるというか、それも強みだと思います。
番組の未来予想図はどう描かれていますか。
とにかく半年、1年、3年と続けていきたいですね。そのために、自分が何をすればいいのか、どうやってラジオを聞いてもらうのかということを、作家としてのネームバリューに甘えて寄り掛かることなく、もっときちんと考えなければいけないと思っています。もう、それだけですよね。
聞いている人の生活の習慣のなかに入っていくことが目的であり、理想ですね。この番組は、公共放送の教育テレビを見ていたのに突然UHFの電波が混入してくるような、その境目がない、聴いたことのない感じだと思うんですよ(笑)。
金曜日の夜23時からで、「明日から休みで何しようかな」と、ちょっとぼーっとする時間だと思いますし、そんなときに20分だけでもぜひお付き合いいただければ幸いです。
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