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  • 第27回 ひづきようこさん、松山勘十郎さん、木原浩勝さん(2018年8月)

    第27回のパーソナリティインタビューは『怪談ラヂオ~怖い水曜日』(毎週水曜 23:30~24:00放送)でパーソナリティを務めるひづきようこさん、松山勘十郎さん、木原浩勝さんにご登場いただきます!

    写真左から 木原浩勝さん、ひづきようこさん、松山勘十郎さん

    “歌う怪談女”ひづきようこさんと、“怪談好きプロレスラー”松山勘十郎さん、そして、伝説の実話怪談本『新耳袋』シリーズでお馴染み、“怪異(かいい)蒐集家(しゅうしゅうか)”木原浩勝さんの3人でお送りする、『怪談ラヂオ~怖い水曜日』。台本なしで進められる本格派怪談番組への関心はウナギ登りで高くなっており、Podcastの月間ダウンロード数は驚異の30万越え! いわゆる「お化け番組」になりつつありますが、人気の秘密は、『リアリティ』を常に意識した怪談トーク。その真相をうかがいました。


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    誰かひとり欠けてもダメ。本当に唯一無二の番組です(松山)

    3人の出会いと、『怪談ラヂオ』がスタートした経緯を教えて下さい。

    ひづき以前、『ふるさと怪談トークショー』というのがあったとき、そこで私もゲストとして呼ばれたんだけど、シークレットゲストということで木原さんが登場されたんです。
    木原さんはあまり楽屋にいらっしゃらなくて、お客様と一緒にまじって、雰囲気をみたりしながら、そのときにお客さんの(客)層をみたりして、話す内容を変えたり、ぶっつけ本番で(トークが)できる方。私とか、他の出演者のしゃべりを客席から聞いていたみたい。あとから挨拶をさせていただいたときに、お声がけいただいたのが最初の出会いです。
    私も歌い手で、普段お客様のほうを向いて歌うので、その癖はついているわけで、トークショーだけど横にいる人じゃなく、お客さんのいるほうを向いてしゃべっていたら、その姿をすごくほめてくださって、「君、ちゃんと前を向いてしゃべっていた」と。
    当時ラジオ関西で他の番組をやっていて、夜中の枠があるということを耳にして、怪談番組をやりたいと思っていたんです。そのとき、そのタイミングで木原さんともお話をさせていただいて、「夜中の枠ですが、よかったらご一緒させていただきませんか」とお声がけしたら、「まだ怪談が関西で浸透していない部分がいっぱいあるから、もしそれで番組ができるんだったらぜひ」と言ってくださいました。
    そこから夜中の番組がスタートしたんですが、(松山)勘ちゃんについては、私の知り合いの方から「怪談好きのレスラーがいる」ということで、それもまた面白いなということになり、紹介いただきました。以前にプロレスを見に行ってお会いしていたんですが、まさかその方だとは思わなくて(笑)。

    松山拙者も実際、『新耳袋』が好きで、(木原さんの怪談の)本も読んだし、映画もドラマも見たしというところからスタートして、聞いてくださっているリスナーの皆さんと比較的近い心境でやらせてもらっているのかなというのは思うんです。
    ただ、そのなかでも、自分が出過ぎることもなく、自分自身の立ち位置もしっかり自覚しながらやっています。ラジオ番組としてもやっぱり勉強になりますし。

    ひづき私たちは(怪談の)体験談はお互いにあるんですが、木原さんみたいに、怪談に対して特化した知識というのがないので、番組を通じて勉強しているというか、知っていくこともたくさんあります。

    松山木原さんに考え方を変えていただいた部分もすごく大きいです。

    ひづき一見、木原さんというのは、パッとお会いした感じは、すごくとっつきにくい部分もあるんです。気性とか。
    でも、番組を一緒にしていくにあたって、木原さんの優しい部分を垣間見たりするんです。私たちにしか見せない顔もあったりするので。すごく今は楽しくさせていただいています。

    松山拙者はプロレスラーで、ひづきさんは歌手で、人前に立つ共通点が木原さんもトークイベント等でありますが、でも、共通点はあるけど、まったく違うジャンルの3人が集まって、そこでこんな番組ができあがっているのがいいなと。

    ひづき視点が私たちはまったく違うしね。

    松山拙者たちとしても日々勉強ですし、ファンの方を飽きさせないというのも、我々共通の常にある課題。ジャンルの違う3人だからこそできる、この集まった化学反応を出したい。

    ひづきそれに加えて、佐々木ディレクターがマニアックなくらいの怪談、怪好きなので。

    松山これ、いい意味で、ど変態ですよ!

    ひづきここは入れてほしい! 「佐々木ディレクターはど変態だ!」と(笑)。
    佐々木ディレクターの変態度が、この番組を支えているんです!

    松山そう、間違いない! 拙者も変態ですし(笑)。そういう意味では。
    失礼かもしれないけど、ひづきさんだって……。

    ひづき変態ですよ!

    松山なんかしら皆さんそういう要素があると思うし、だから、そこがまたいい。

    ひづきいろんな味があるから。

    松山普通の人が普通にラジオをやったって、たぶん何も面白くないですからね。だから、誰かひとり欠けてもダメですよね。そういう意味でも、本当に唯一無二の番組ですよね。

    『怪』って風化しないもの。そこも(怪談の)魅力のひとつじゃないかなと思うんです(ひづき)

    そのなかで、怪談の醍醐味について聞かせて下さい。

    松山もちろん、怖いですよ、(怪談番組を)自分たちでやっていても。でも、人間って、怖いものみたさの感情って、絶対にあると思うんです。そこを刺激されるのが、すごく心地よいというか。「なんか覗いてみたい」という、その代表例だと思うんです。

    ひづきある意味、非現実ですよね。怪談って。
    そういうところって、人って興味がひかれるところだと思うんです。

    松山(怪談は)怖いんですが、一度はまっちゃうと、なかなか抜けられない。
    不思議ですが、辛いカレーほど、また食べたくなるような感じ。『なんか聞いちゃう』、それに尽きるんですよ。

    『怪談ラヂオ』の魅力はどこにあるのでしょうか。

    木原まずおさえなければならないのは、5月度Podcastの集計が33万ダウンロード越えだったということ。このラジオ離れが大きく言われる昨今、昨年あたりから、ほぼ30万ダウンロードという数字を下げることなく、徐々にじりじりとここまで持っていくことができたのを、不思議に思わなければいけません。
    そのなかで、第1に、この番組は非常にせまいレンジ(範囲)を狙った、日本唯一の怪談専門ラジオ番組で行こうぜというのが、当初からありました。専門番組であると、当然専門でしゃべってくれることが好きだという人たちが、こぞって聴いてくれるわけです。
    そして、『耳で聴く怖さ』というのは、『目で見る怖さ』とはちょっと違う印象度をそれぞれに与えてくれるからこそ、ラジオ(の番組)が面白いと思います。分かりやすく言うと、テレビやインターネットで怖い映像をバーン(と映す)みたいにやると、他に想像力の余地もへったくれもなく、見たまんまになる。そうなると、「これはないで」「作ったんやろ」「ようできてるな」と言うような、ビジュアルに関しての話題や印象度に終始しがち。心のなかの残像度が薄くなっているがゆえに、怖さはどこへやらとなる。想像力を奪って、心のなかに滞空する気持ちが、映像だと弱いということを意味していると思います。

    映像ではない、想像をかきたてられるラジオだからこそのよさがある?

    木原ラジオは聴きながら、自分の生活の周りが舞台っぽく聞こえてくるもの。
    この番組(怪談ラヂオ)は体験談を御寄せいただいてやっていますが、たとえば「ある家の方の台所で起こったことなんですけど……」っていうと、「うちにもあるやん、台所って……」、となる。そのなかで、「なにがあったの……?」と、そば耳を立てて聴いて、印象が残って、「今週のラジオが終わった」とふっと振り返ったら、台所が真っ暗。さっき電気を消したからそのままなのですが、「なんかイヤやな……」という、聞いたあとの残像が妙にイヤなものを残してくれて、「まさかとは思うけど、この聞いた話というのは、うちには起こるまいなと、わからないよね、起こったらいややな」というようなことを、ラジオは、どうやらなんとなくできるようなんです。

    怖い話に特化するよさもありますか。

    木原番組のなかで面白くはしますが、怖い話の話題だけに特化していて、ほかに触れないという形をやっていくことによって、「専門的だな」となると思うんです。
    また、『怪談ラヂオ』が、他の番組と大きく変わったことの1つに、専門番組だから、心霊用語とか、オカルト用語とかが飛びかうのかと思っていたら、一切出てこないこと。それ自体、たぶん画期的だったと思うんです。
    「先祖霊が地縛霊となって、あなたのそばについているんですよ……」みたいな、霊能者と呼ばれたり、テレビに出てくる霊能タレントさんがやる技というのは使わない。なぜならば、(霊というのは)説明できるようなものでもないし、証明できるものでもなかったりするからです。「分からないものは分からない」、それでいいんです! 『わからないもの』がわかるように、わからない言葉でしゃべるから、(テレビの怖い番組などは)「わからないんです……」ということがあると思うので。
    たとえば、「そこに女が立っていたんです」「うわっ、こわっ!」って言われても、「別に女が立っていただけじゃ怖くもないだろう」と思うわけです。過剰な盛り上げ、大げさなリアクションというのが、余計に「怪談って、インチキくさくて信じられない」という空気を作り始めていたと思うんです。「ぎゃーっ!」とか「ダダダダー!」みたいな効果音を当てている方もいますが、古今東西、そんなにぎやかな怪談はないですから。包括的にいって、そういう番組が多かったなか、この番組は全然違うので。

    ひづきよくその辺にありふれている怪談は、この番組ではあまり話さない。そういうところも『怪談ラヂオ』の人気のひとつかなと思います。実際の『怪』って、オチはないものですし。

    松山初めて木原さんに会ったときに、まずそれを言われましたよ、拙者も。
    「それこそがリアリティだ。創作じゃないんだから」と。

    ひづき作り込まれたものではなく、じわじわくる、そのあとを自分で想像できるというか、妄想するというか。それこそ怪談なんじゃないかなと思います。

    松山だから人によっては、そういう感覚を理解してもらうまでに、時間がかかる人もいるかもしれない。
    でも、本当に怪談が好きならば、必ずその境地に達することができると思うんです。

    ひづき『怪』って風化しないもの。そこも(怪談の)魅力のひとつじゃないかなと思うんです。

    数字的だけではなく、方向性的には、これが最先端な生トーク番組なのかもしれません(木原)

    『リアリティ』が、この番組を惹きつけている要因になっているんですね。

    木原だから、リスナーの投稿はバッサリ切るわけです。「これが入っていないから、本当に勘違いではないですかね」とか、「こういうことがあるなら、おそらく事前にこんなことを感じとられているはずですが」とか、推理推測で投稿の完成度に対して言葉を出すわけです。
    だから、たまに大絶賛するときもありますよ。「これはすごい! 本に使いたいくらい」と。素人だとか、文章のうまいうまくないとかではなく、あったことを、心理をそのままのせて伝えることって、結構OKなんです。心理が入っていないと、本人の体験にしては、他人事に聞こえるわけですから。

    松山個人的に、今までずっとやっていたなかで、一番印象に残っているのが、都市伝説の話で、木原さんから逆に投げかけられたテーマがあって、「電柱の陰から子どもを狙っている口裂け女の、後ろ姿を想像してごらん」、と。「なんか馬鹿みたいですね」となって、そこを切り口に、表面上でしか知らなかった都市伝説とか、いろんな多角的な観点というのを教えていただいたりとかしています。

    ひづき怪だけじゃなく、そういう都市伝説とか、たまに宇宙人の話とか出たりするよね。

    松山ただただ怖いだけじゃなく、不思議な話だったりとか、ちょっとほろっとくるような感動系の話があったりだとかもします。そういうところが、この番組の、リスナーの皆さんを飽きさせない大きな要因なんでしょうね。

    ひづきそれも、台本がないので、急に突拍子もなくその話が出るのも、また楽しいんです。

    松山拙者たちもついていくのが結構必死ですから。

    ひづきめっちゃ必死です! 番組中に怒られていますから、私たちも。

    また、この番組では、怪談に関して、一切の妥協を許さないという姿勢も感じます。

    木原ここではリスナーの体験談に「怖いですね!」という迎合を、一切やらない。日本唯一の怪談専門ラジオ番組、専門でやっているから、厳しくやっているというスタンスが伝わるようにしています。応える僕らも(言ったことが)そのまま放送されちゃうかもしれないから、言葉を選んで、誤解が生まれるかもしれないけど、個性を全開にしてお客様に伝えている結果、こんな(Podcast月間30万ダウンロード越えという)数になったんじゃないですか。
    つまり、本気度が伝わっていると思うんです。そして、本気でやっている、リスナー投稿を題材に、ナチュラルな松山勘十郎と、ひづきようこが、木原浩勝に対して、「応えてくれ!」と迫ってくる。ということは、「応えられるのか……」という空気感がなんとなくある。そこで「いや、それは……」とか、「うーん……」とか、そういうのを切らずに(放送に)残っている面白さがあります。
    もし、「あっ、それはですね」と(すんなりと)入っていたら、「都合のいい応えが出るように、手紙を読んだあと、自分の本とかバックに持って来ている資料を見て『あった!あった!』みたいなことをやっているから、こんなにすぐにぺらぺらとしゃべれるんだ」というようなこと(感想)になる。そういう裏側を読む、小さなマスコミの検証能力みたいなものは、きっと今のリスナーはお持ちだと思うんですよ、なんとなく。
    だから、そういった意味でも、数字的だけではなく、方向性的には、これが最先端な生トーク番組なのかもしれません。

    それにしても、『怪談ラヂオ』では、時々、本当に怪現象があるのには驚かされます。

    松山あるんですよ、これが。どうしてもラジオだから我々の声でしか現場の状況を伝えられないじゃないですか。でも、本当にあるんですよ。このスタジオの、今、拙者が座っているこの席でも、マイクがひとりでにクイッと動いたりだとか……。

    ひづきありますね! 番組回で起こるときも本当にあったので。

    松山だいたい、ヘッドフォンから変な音が聞こえたりだとか、結構あるよね。

    全く別の番組の音源が入り込んだこともあったんですよね。

    ひづきありました! あれは本当の怪でしたよね。

    松山尺(番組の放送時間)がピッタリやったんよね。

    ひづきそんなこと不可能やからね。

    松山そのときおらんかったはずの、ひづきさんの声も入っていたんですよ。
    あれは語り草ですよ。

    ひづき作ろうと思ってもできないよね、あの編集は。

    松山作ったとしても、そんなことをする意味もわからないし。あとは勝手に機械が止まっていたりしたこともありましたし。本当にそういうことがあるんだなと。
    決してそんな気楽にやっているつもりでもないんですが、改めて、そういったジャンルへの敬意とかは常に忘れないようにできればなと思います。

    それでは、最後に、番組の今後に向けても聞かせてください。

    松山これからも、どんどん番組のリスナー数も増えて、もっともっと広く認知されてほしいなと願っています。

    ひづきもし可能であれば、今年中に怪談トークショー、公開録音とか1本できればなという思いがありますし、そのときには、ぜひたくさんの方に来ていただけるのではないかなと思います。

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    番組内ではもちろん、書籍やイベントでも今まで詳しく語らなかった…、いや語れなかった、木原浩勝のここだけでしか聞くことのできない、とっておきの話をメインに怪異や不思議な話を交えて語ります。番組ファンはもちろん、木原ファン、実話怪談ファンは必聴!
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