僕にとっての神戸のラーメンといえば、やはり大衆中華の醤油ラーメンだ。中でも、神戸大衆中華ののれん分けの代表である「一貫楼」を筆頭に、「兵庫楼」や「千石楼」などがうちの近所にもあり、ラーメンと言えば焼豚、もやし、ネギのシンプルな醤油ラーメンだった。もちろん、それ以外の店も同様だ。ちなみに、今でも湊川のダイエー内にある「東華園」も懐かしい味。
特に、1954年創業の「荒田一貫楼」(現在は本店荒田工場)は家から近く、物心ついたころからよく食べに行ったり出前をとったりしていた。
豚まんで有名な「三宮一貫楼」のルーツ店である。残念ながら現在、「荒田一貫楼」は店舗営業をしていない。
だが、同店の料理人だった人が北区の神鉄鈴蘭台駅前に「鈴蘭台一貫楼」としてのれん分けしているのだ! 荒田の味が、ここで食べることができるのである。まさに、神戸のラーメンの味だ。

大衆中華料理店の醤油ラーメンこそ、「神戸ラーメン」と言っても過言では無いだろう。

(文=サブカル郷土史家 佐々木孝昌)
※ラジオ関西Podcast『神戸放談』#8「神戸のご当地ラーメンは町中華系」より





