生まれも育ちも神戸市中央区でサブカル郷土史家の佐々木孝昌(神戸史談会、神戸史学会・会員)が、北区出身で落語家の桂天吾と、神戸のあれこれについてポッドキャストで語る『神戸放談』(ラジオ関西Podcast)連載シリーズ。今回のテーマは「ラーメン」です。
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全国には、博多ラーメンや札幌ラーメン、徳島ラーメンなど、基本、各店味のベースが共通する「ご当地ラーメン」がある。兵庫県では、甘めの醤油スープの播州ラーメンが有名だが、神戸は中華料理が有名なのに「ご当地ラーメン」としての神戸ラーメンは無い。
「神戸ラーメン第一旭」のように、店として神戸ラーメンを名乗っている店舗はあるが。「第一旭」はそもそも京都のラーメン店で、1971年に神戸店を創業している。つまり京都系である。

神戸で有名なラーメン店といえば、1977年創業の「もっこす」と答える神戸っ子は多いだろう。総本店がわが家の近所なので、僕も小学校以来40余年通っている大好きなソウルフードの1つだ。当時はカウンターがあり、目の前でスープを炊いて豚骨の香りが漂っていたのも懐かしい。スープも、今よりもっと油が濃厚だった。そんな「もっこす」は“神戸のラーメン“だが、「第一旭」系になるので京都ラーメンの系譜といえる。

僕の幼少の頃は、ラーメン店というのが今ほど多くは無かった。当時だと、1974年にサンこうべ(現・デュオこうべ山の手)に1号店をオープンした「北海ラーメン」チェーンが印象的だが、これとて札幌ラーメンなので神戸のラーメンとは言い難い。と言いつつ、「北海ラーメン」も1号店をメインに40余年通っている僕のソウルフードではある。
そもそも神戸では、ラーメンは中華料理店で食べるものという感覚だったのではないだろうか。スープは、あっさりした醤油か澄んだ清湯だ。
基本、大衆中華料理店が醤油スープで、華僑系や本格中華料理店が清湯スープというイメージだ。清湯スープの場合は、「汁そば」と呼ばれることが多いように思う。今では清湯を出す店も、かなり少なくなっているのでは。





