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  • 2019年8月11日(日) 22時36分 スポーツ

    明石商業、接戦制し夏の甲子園初勝利 狭間監督「みんなで勝ち取った1勝」

     春夏3季続けての甲子園となる兵庫代表の明石市立明石商業高校。第101回全国高校野球選手権大会の初戦となった11日は、5年連続出場の埼玉代表、花咲徳栄高校と対戦し、4-3で勝利。これが明石商業にとって夏の甲子園で初白星となった。

     埼玉県勢として初優勝を成し遂げた2017年に続き、2度目の頂点を狙う、花咲徳栄。今夏の県大会のチーム打率は実に.432。7試合で101安打を放った切れ目のない強力打線に加え、3回戦でノーヒットノーランを達成したエース中津原を軸に、投手陣も充実。優勝候補の一角に目される強敵と、明石商業はいきなり相対することになった。

     4万4千人の観客が熱視線を送った大会6日目第4試合。 明石商業の一つひとつのプレーに、地元の観客はひときわ大きな声援を送る。 そうした球場の雰囲気も味方につけ、先発した明石商業のエース中森は3回までに4奪三振。 一人のランナーも出さない完璧な立ち上がりを見せる。

     しかし、試合が動いたのは4回表、1アウトから中森が3連打を浴び満塁のピンチを迎えると、押し出し四球を与えてしまい、花咲徳栄に先制を許す。ただ、後続を断ち最少失点で抑えると、鍛え上げられた明商打線も黙ってはいなかった。

     5回裏、二死からトップバッターの来田が中前打で出塁すると、 水上がバックスクリーンへ2点本塁打を叩き込み逆転に成功。その後、互いに得点を取り合い、3-3で迎えた7回裏、 またしても来田が左中間フェンス直撃の二塁打を放ち無死2塁の好機を作る。相手のエラーもあり無死1、3塁となった後、打席にはキャプテンの重宮。 ワンボールからの2球目、「バントには自信があった」という重宮がスクイズを試みるも、 打球はファールゾーンへ。追い込まれたなか狭間監督から出たサインは「打て」。 ノーステップでコンパクトに振りぬいた打球はライト前へ落ち、これが決勝点となった。

     最終回に得点圏までランナーを進められるも、逃げ切った明石商業。中森が9回135球を投げ切る粘りの投球で完投、強力打線を力と技で抑え込んだ。春のセンバツではベスト4入りした明石商業だが、夏ではうれしい初勝利となった。

     試合後、「2年ちょっとで成長した。よくやってくれたの一言」と選手を讃えた狭間監督。 データを駆使する采配でも知られ、「何十時間も映像を見た」といい、「競らないと勝てないと思っていたなか、ピンチをよく1点で抑えてくれた。 辛抱強い明商の野球ができた」と胸を張り、「まだ大会は終わっていない。目の前の試合に全力を尽くす」と力を込めた。粘りの投球を見せた2年生エースの中森については、「初回から崩れることもなく、しのいでしのいで、よく投げてくれた」と話した。

     決勝打を打ったキャプテンの重宮は、昨夏の甲子園出場メンバーの1人。「花咲徳栄の粘りは、(一時6点差をつけられたが追いついたものの、9-8で惜敗した)去年の八戸学院光星戦を思い出した。ただ、自分たちも粘り強さが売り。応援してくれたスタンドに感謝したい」と引き締まった表情で話し、次戦に向けては、「(自身の)エラーもあったし、バントミスもあったが、うまく切り替えられた。短い時間だが、次戦までに直せるところは直したい。 目の前の一勝に向け、必死になって取り組んでいく」と力強く話した。

     勝った明石商業は、大会7日目第1試合、宇和島東(愛媛)と宇部鴻城(山口)の勝者と15日の第1試合で対戦する予定。 なお、11日の第1試合は5-3で作新学園(栃木)がセンバツ4強の筑陽学園(福岡) を延長戦の末下し、3年ぶりの初戦突破。第2試合は東海大相模(神奈川)が6-1で春の近畿大会を制した近江(滋賀)に快勝。 第3試合は中京学院大中京(岐阜)が北照(南北海道)を終盤で逆転し、4-3で競り勝っている。(春名)