天皇杯3回戦で、ヴィッセル神戸はNACK5スタジアム大宮で大宮アルディージャと対戦した
第99回天皇杯全日本サッカー選手権大会は14日、3回戦の16試合が行われた。ヴィッセル神戸は、NACK5スタジアム大宮でJ2の大宮アルディージャと対戦し、田中順也の2得点と、藤本憲明の移籍加入後初ゴール、小川慶治朗の天皇杯2戦連発弾で4-0と勝利。ベスト16入りを果たした。一方、J1勢では現在首位のFC東京がJ2のヴァンフォーレ甲府に、過去4度の優勝経験があるガンバ大阪が法政大学に、それぞれ敗れる波乱があった。
J1リーグ戦で下位に沈む神戸。現実的に来シーズンのAFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権を獲得するには、天皇杯で優勝するしか望みがない。そのため、トルステン・フィンク監督は、リーグ戦から中3日で迎えた天皇杯3回戦でも、アンドレス・イニエスタら一部の選手を除いて、ターンオーバーは最小限に留め、山口蛍やダンクレーらを抜擢し、貪欲に勝利を狙った。一方の大宮は、J1昇格争いが佳境のためか、神戸に縁のある河本裕之や奥井諒らを含めた主力がメンバーから外れていた。
試合に入ると、神戸は最後方のGK飯倉大樹を含めた”11人”で慌てることなくゲームを組み立てるサッカーで、J2大宮に力の差を見せつけた。
なかでもインサイドハーフの安井拓也と郷家友太が出色の出来。攻撃では相手の守備ブロックの間、間に入ってボールを呼び込む動きを見せ、大宮の守備網を撹乱。守備では前からのプレスや自陣に戻ってのディフェンスも披露するなど、攻守に存在感を見せる。
そしてフィンク神戸の『心臓』である山口は、攻守において役者の違いを見せ、前述の2人とともに文字通り中盤を支配した。
新加入組も個性を発揮。神戸での初出場となったDFジョアン・オマリはセンターバックタイプの選手で、左利きをいかしてパスやドリブルでボールを前進させることに貢献。また、2トップの一角に入った藤本は神戸に移籍後初先発。常にディフェンスライン裏に飛び出す姿勢や仕掛けを見せ続け、神戸初ゴールもそれが実った形となった。
そして、直接FK弾を含む2ゴールでこの試合の殊勲者といえる田中。「使われた時間で結果を残せば生き残れる」という試合後コメントのとおり、背番号21が常に準備ができている姿勢を見せているところに、チーム力の高さがうかがえる。
試合前にはルーカス・ポドルスキの日本帰還と、酒井高徳という経験豊富な実力者の新加入を発表した神戸。的確な補強を含めた豊富な陣容を力に、今秋こそ、J1リーグでの巻き返しを図るとともに、この天皇杯では主役に躍り出たいものだ。
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