神戸市に本社を置くUCCホールディングス株式会社の中井千香子氏が、9月11日に開催された「ジャパン サイフォニスト チャンピオンシップ（以下：JSC）2019」に出場し、見事日本一のサイフォニストに選ばれた。

「JSC2019」競技中の中井千香子氏（写真提供：UCC）

　JSCはコーヒーのサイフォン技術に特化した競技大会で、競技者はブレンドコーヒーと、ブレンドコーヒーを使ったオリジナルドリンクの2種類を抽出する。その抽出技術とプレゼンテーション能力で、コーヒーの味わいをどれだけ表現できたかにより評価が決まる大会となっている。

　今大会で優勝した中井氏は、神戸市出身。UCC直営店舗でコーヒー抽出や接客経験を経て、現在はUCCホールディングスでプロフェッショナルとして働きながら、国際規模の競技大会に挑戦しており、昨年は様々な手動の器具を用いた抽出技術を競う「ブリューワーズカップ2018」の日本大会で第1位、その後2019年に行われた世界大会で第4位という輝かしい成績を残している。

　大会を終えたばかりの中井氏を取材した。

――優勝、おめでとうございます。

中井　ありがとうございます！

――今回は、いわゆるブラックコーヒーと、それを使ったアレンジコーヒーの2つで競う大会だったそうですが、中井さんはどんなアレンジコーヒーを用意されたんですか？

中井　アレンジコーヒーは、サイフォン抽出したものにアルコール以外のフルーツや食材を使って作るんです。私は抽出する人だけが体感できる、抽出している間にどんどん変化する「香り」をテーマにしました。はちみつやヨーグルト、珈琲の木の実からできた紅茶、梨など、色々な食材を使って飲んでる最中と口のなかに残る香りが、変化するような味わいを作りました。

――大会当日はどんなお気持ちで臨まれたんですか？

中井　めちゃくちゃ緊張したが、楽しもうと思って。舞台裏は結構緊張してたんですけど、これまでの経験が自信に変わりました。あとジャッジをしてくれる人たちを、協議会だと思わずに、私と同じコーヒーが好きな人なんだと思うことでリラックスできました。

――そんな緊張感もあった中での優勝。つかみ取ったときのお気持ちはいかがでしたか？

中井　6回目の挑戦でやっと初優勝ができて、うれしかったです。しかも、結果は下の順位から発表されるんですけど、4位が発表された段階で上位3位をUCC社員の3人で飾ることができるとわかったとき、本当にうれしかったです！　彼女たちとは一緒に練習してきた仲だったので。

「JSC2019」表彰式優勝の中井氏（中央）、準優勝の高橋氏（右）、3位の常深氏（左）（写真提供：UCC）

――これまで以上の喜びだったんですね。改めていま、コーヒーの魅力をどのようなところに感じていますか？

中井　毎年、自分の思っている以上のコーヒーに出会うことができるんです。そして、そのコーヒーの魅力をみんなに知って欲しい！……そういう気持ちが種になって、コーヒーを通じた人との関わりが広がっていくことが何よりもの魅力だと思います。

――いま考えていらっしゃる夢や目標はありますか？

中井　目の前の目標としては、サイフォニストチャンピオンシップの世界大会で優勝することですね。あと、今後は店舗のお客様だけでなく、コーヒーの専門家など、いろんな方たちと出会えるのが一番楽しみです。セミナーやイベントでも壁をつくらず、これからも頑張っていきたいです。

　彼女の手によって抽出されるコーヒーの味わいは、世界に誇る神戸の魅力となっていくのだろう。