第4回 桂春蝶さん(2012年9月)
第4回のパーソナリティインタビューは、2012年4月からスタートした『桂春蝶のバタフライエフェクト』(月・火9:00~12:54)にて、パーソナリティを務める桂春蝶さんに登場いただきます!
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2012年4月から『桂春蝶のバタフライエフェクト』がスタートしました。
まずは、番組が始まって、これまでの感想をお願いします。
今まで2時間の番組を担当することはありましたが、4時間の番組を担当するのは初めてで、4時間も大丈夫かなと不安に思っていましたが、やってみると意外に早く感じて「もうちょっと話したいことがあったな」、と感じることもしばしばです。
始めの10分ほどオープニングトークがありますが、そのネタを考えるために1週間を送っていて、どんなネタがいいのかなと、情報を収集していくのがすごい楽しみだったりします。自分の中で起承転結をつけて、オチまで持っていく。そして、オチを言うぞというときに、ディレクターが流れているBGMを止めてくれて…。スタッフとそういう連携なども出てきています。この週に2日の放送があるおかげで刺激のある1週間を送らせてもらっています。
時事ネタやニュースも番組で多く取り上げている訳ですが、できるだけ世の中の報道やニュースとかに変に影響されず、自分はこう思うといった視点でなるべく話したいと思っています。あまのじゃくになるとかではなく、「正しいと思うことは正しい」と言いたいし、「そうではないのでは?」と思うことがあれば、自分なりの意見を言い、なるべく自分の言葉で話すように心がけています。
番組のタイトルにもある「バタフライエフェクト」とはどういう意味ですか?
カオス理論の1つで、「一匹の蝶のはためきが地球の裏側で嵐を起こすこともある」。言い換えれば、「風が吹いたら桶屋が儲かる」という、1つ何かが起こることによって、それが様々なことに影響をもたらし、やがて大きなことへと変わっていくという意味です。ですので、ラジオというものを通じてみなさんの生活が楽しくなったり、豊になったり、問題を提起したり、良い面でも悪い面でも物議を醸すような番組になればいいなと思っています。腹を据えて番組をするという気持ちも込めて、番組タイトルに入れました。
私の名前が「春蝶」ということもあり、さらに映画の「バタフライ・エフェクト」が好きというのも、タイトルに入れた理由でもあります。
番組のタイトルを決めるときに「バタフライエフェクトっていうのはどうですか?」と提案してみたら、ラジオ関西のみなさんは寛容でそれでいこうってことになって(笑)。ということで、タイトルが決まりました!
自分の等身大、生身で行きたいなと思っています。
損することもありますけどね。
『桂春蝶のバタフライエフェクト』とはどんな番組ですか?
私は落語家なので、基本笑いを目指すということには変わりはないのですが、まじめなこともラジオを通じて話していきたいですね。
後は自分の等身大、生身で行きたいなと思っています。損することもありますけどね。でもいくら「ポーズ」をつけても4時間やっているとボロが出ますからね。
それだったらシンプルにいったらいい。それに対してご批判もあると思いますけど、そういった声をいっぱいいただくことも「バタフライエフェクト」だと思いますよ。
「あなたの意見は無神経だ」といったメールやFAXをもらうのも大事ですし、自分の中できちっと受け入れていきたいと思っています。
賛否両論が集まる番組ってとってもいいと思います。「蝶のはためきが嵐を巻き起こす」ということは、いい旋風を巻き起こすということもあれば、炎上することもあるでしょ(笑)。でもそれでいいんですよ。
将棋で説明すると、駒を一切動かさない体制が一番強いらしいです。一歩動かすことで勝ちにも近づくし負けにも近づくらしいです。言い換えれば、動かせば動かすほど不利になっていく。どちらの可能性も広がっていく。
でも、私達はその「動かすということ」が仕事ですよね。だからやっぱり自分の思っていることは問題提起として包み隠さず言う方がいいと思います。
4月から始まった『桂春蝶のバタフライエフェクト』ですが、みなさんのいろんなご意見が届く、そんな番組になってきています。番組内でご紹介できていないものもありますが、ちゃんと全部読ませてもらっています。
アシスタントの塩田えみさんとは、今回が始めてのパートナーとしてのお仕事だと伺いましたが、印象はいかがですか?
前から知っている関係でしたが、仕事を一緒にするのは今回が初めてでした。本当に助けてくれています。不安なときはさっと支えてくれて。「アシスト女王」だと思いますよ。私が自由にしゃべれているのも、彼女のおかげだと思っています。
ぐっと前に出てくれることもあるし、引いてくれることもある。前衛でも後衛でも幅広い人だなって。よく笑ってもくれるし、勘が鋭いし、信頼しています。
春蝶さんの携帯から電話をかけるコーナーがありましたが、今まで、どんな方々に連絡しましたか?またエピソードなどあれば教えてください。
あれは危険なコーナーでしたよね(笑)。なんせノンアポでしたから。電話が誰にも繋がらなかったこともあります。
そもそもこのコーナーは、先輩方から私がこの先どうやって芸能界を生きていったら良いかという指針を与えていただくっていうことだったのですが、リスナーのみなさん全員にリンクする話かなと思います。
今まで、新野新さん、柄本明さん、鈴木美智子さん、三島ゆり子さんや香西かおりさんにも出演いただきました。
みなさん温かいお言葉をかけていただいたのですが、みなさんおっしゃることって一貫しているなと感じました。「自然のままに、自分のありのままで」というメッセージを多くいただきました。
だから自分の普通の状態で仕事が出来るように、というのを心がけていきたいと思っています。だって、芸能界の先輩方がみんなそれを言う訳ですから。よっぽど大事なことなのだろうなって。
ラジオ関西でレギュラーを持たせていただくことは、うれしかったですね。
ラジオ関西との出会いは?
原田伸郎さんと以前からお付き合いがあって、別番組でご一緒したこともありました。伸郎さんは落研だったこともあって、一緒に落語会をやったこともあり、深い仲になっていました。それで、伸郎さんがラジオ関西の番組をお休みされるときに、ピンチヒッターとしてよく私を指名していただいて、その時に番組を聴いてくれた、ディレクターやスタッフが私を薦めてくれ、ラジオ関西で番組を持つことになりました。
でも、実はご縁を感じているのは他にもあって、私の父親(先代春蝶)の最初のレギュラー番組がラジオ関西の番組でした。だからラジオ関西でレギュラーを持たせていただくことは、うれしかったですね。
ラジオ関西のイメージを教えてください。
どういったら良いのかなぁ。シュッとした感じがありますね。ちょっとFM局にも近いような。神戸という土地もあるとは思いますが。海が見えて、山が見て…。日本で一番きれいな風景が見えるスタジオだと思います。
洋楽を多く流したり、曲のチョイスも良かったりしますし。だから関西のAM局の中でもシャレてるなって感じます。
好きでしたけど、落語家になろうとは思っていませんでした。
特に周りから「落語家になれば?」という勧めも無かった。
落語家になられたきっかけは?
動機は非常にしょうもないことなのですが、高橋留美子さんの「めぞん一刻」の管理人さんと五代くんのストーリーに憧れて(笑)、高校を卒業したら、保育士になるために専門学校に通う予定でした。
しかし高校3年生の冬休みに父親が亡くなって。お通夜・葬儀の際にたくさんの方々から「あなたのお父さんの落語に励まされた」とか、「あなたのお父さんは上方落語にとって重要な人だった」などと声をかけていただき、私は2つすごさを感じました。
1つは「父親の偉大さ」、そしてもう1つは「落語の持っているパワー」を感じました。一気に「落語家」という職業に興味が出た訳です。お通夜と葬儀のたった3日間ぐらいの話ですが、「落語をやりたい!」と思いました。
それまでは、落語は好きでしたけど、落語家になろうとは思っていませんでした。特に周りから「落語家になれば?」という勧めも無かった。母親からも勧められたことはなかったですし、父親も生前は「絶対に落語家になって欲しくない」と言っていましたからね。
でも最近はこう感じるようになってきました。父親は死ぬタイミングを私のために考えてくれていたのかなって。今となっては自分にとってそう思ってしまうぐらいのタイミングでしたね。「こういうところで俺が死んでやらんと、お前はなんの決断もできないだろう」という風にね。
2009年に「3代目桂春蝶」襲名されましたが、襲名前と襲名後で変化したことはありますか?
やっぱり落語家って、プレッシャーと共に大きくなっていくと思うのですが、襲名後は特に質の高い舞台をより多く踏ませていただいて、質の高いプレッシャーを受けることができるようになったと思います。
襲名披露というのは、誰もが知っている人がどんどん前に出てくださり、さらに松竹座という大劇場で「桂春蝶」という名前を背負って高座に出て行く訳です。しかも自分の責任で幕を降ろす。とてつもないプレッシャーはプレッシャーです。でもプレッシャーって実は一番ありがたいもので、一回これを経験すると、動じなくなるというか、なんでも来いという感じになりました。それによって芸もある程度変わってきますし、スポーツ選手でも舞台人でも、誰でもそうですが、心の持ちようでずいぶん人間ってアクションが変わってくると思います。だから襲名披露という輝かしい場所に立たせていただいて、ビックバンというか…、自分の中でね。もう一回やりたいですね(笑)。
東京で関西の芸人のパワーっていうものを見せ付けていきたいなと思っています。
夢や展望などあれば教えてください
生まれ育った関西を大事にしながら、現在住んでいるのは東京なので、東京で関西の芸人のパワーっていうものを見せ付けていきたいなと思っています。
将来の夢としては、全国でのホールで独演会をすることです。マスコミで認知されるっていうことも夢です。
後、大きいホールやるっていうのも夢ですが、なかなか内陸に来られない方にも落語を見ていただくよう、離島で公演をしたいですね。
島民が10人とか20人とかの島もあるので、そういう島にひとつひとつ行って、自分の落語を聞いていただく。
これを人生70年と仮定して、それまでに完了させることができればなと。それも夢の1つです。
和やかな雰囲気の中でインタビューは進みました。春蝶さんのお話に引き込まれ、あっという間に時間が過ぎました。楽しいお話が多かったのですが、やはり落語や芸の話になると表情がキリッとされ、まっすぐ、真剣に語る姿がとても印象的でした。
春蝶さんの落語を拝見して思ったことは、すごい迫力。いつものラジオパーソナリティの時とはまた違った春蝶さんでした。ラジオの春蝶さんしか知らない方には、「落語家 桂春蝶」も見て欲しいです。ますます春蝶さんファンになると思いますよ!
【プロフィール】桂春蝶
大阪府出身。1975年1月14日生まれのO型。1994年に三代目 桂 春団治に入門。2009年には三代目桂 春蝶を襲名。好きな本は「おべんとうの時間」。性格は明朗活発、涙もろい一面も。最近ラジオ関西内で「作り話キャラ」が確立されつつある。ラジオ関西『桂春蝶のバタフライエフェクト』(月・火9:00~12:54)にて現在、パーソナリティを務める。
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