6月18日に大阪北部地震の発生から1年を迎えた。この地震によって、大阪府高槻市では、ブロック塀が倒れ、登校中の小学4年生の女子児童が亡くなるという、痛ましい事故が発生。この事故は、私たちに大きな衝撃と教訓を与え、地域にある“危険なブロック塀”について、深く考え、見直す契機となった。個人の住宅や私有地における整備はなかなか進んでいない現状にある。
兵庫県では、危険なブロック塀を撤去する際、工事にかかる費用を補助してもらえる制度がある。ラジオ関西『時間です!林編集長』(月曜~木曜15:00-17:50)、18日放送の「わがまちひょうご」では、兵庫県建築指導課防災耐震班主査の山本聡志さんに話を聞いた。
――危険なブロック塀の撤去に関する補助制度について、どういった経緯で始まったのか。
「昨年の6月18日に起こった大阪府北部地震による被害を踏まえて。兵庫県では、昨年の9月に補正予算を組み、10月5日から運用を開始。市や町が補助を行う場合に、県と国がセットとなって補助する仕組みとなっている」
――どんなブロック塀が危険か。
「現在の建築基準法の基準では、高さが2.2m以上のものや、厚さ・奥行きが一定の幅に満たないもの、控え壁(塀に対して垂直に飛び出した、支えとなる壁のこと)が設置されていないものなどが危険となってくる(https://www.mlit.go.jp/common/001251691.pdf)。また、設置時期によっては、当時の建築基準法に則っていたものの、より安全な最新の建築基準法の基準に合っていないものがある(既存不適格)。劣化などで、一定の傾きやひび割れが生じているものも当然危険なものとなってくる」
――補助の対象となるブロック塀は。
「ブロック塀の中でも補強コンクリートブロック塀は、ホームセンターなどに売っているコンクリートブロックを積み上げ、鉄筋やコンクリートで補強したものをいう。補強していないブロック塀や石などを積み上げる、組積造(そせきぞう)により造られたものも、補助の対象としている。そのほか、対象とならないものは、鉄筋コンクリートの塀や、木造の塀などがある」
――どのような仕組みで、補助が受けられるか。
「県の補助制度は、市や町が補助制度を作っている場合に、市町・県・国が三位一体になって補助する仕組み。市や町、県が直接、危険なブロック塀を自ら撤去するものではなく、ブロック塀の所有者が撤去を希望し、工事を実施する場合に補助を行うもの。かかった費用の3分の2を補助し、住民の自己負担は3分の1となる。人通りのある道や公園に面している必要があるなどの要件があり、上限額も最大20万円を想定している。補助の対象とするかの詳細は市や町ごとに決められているので、担当窓口で確認をしてほしい」
――かかる費用の目安は。
「おおよそにはなるが、ブロック塀の撤去には1平方メートルあたり1万円前後の撤去費用がかかるものと考える。高さが2メートルの塀であれば、幅1メートルあたり約2万円程度ということになる(工事車両が入れない場合等は、この限りではない)」
――制度の現状はどうか。
「昨年度の予算が1億円、実績は2千万円程度だった。想定していたよりは少ない実績となっている。昨年度は工事が集中し、解体の工事業者が捕まらないという声もあり、今年度まで補助制度を延長した経緯がある。補助制度がある今年度中に、早期の撤去をお願いしたい」
――どこに相談すればよいか。
「補助制度については、お住まいの市や町の担当課へ相談を。ブロック塀が危険かどうかの相談をしたいというような場合は、特定行政庁(建築主事を置く市。兵庫県内では、神戸、尼崎、西宮、姫路、明石、加古川、伊丹、川西、宝塚、三田、芦屋、高砂の12市)の担当課か、県民局・県民センターのまちづくり建築課へ問い合わせてほしい」
(聞き手:ラジオ関西・春名優輝アナウンサー)
あなたの所有する危険なブロック塀は、あなたの責任で撤去をする必要がある。今一度、自分の家は大丈夫か、周りの人の家は大丈夫か、確認を。地震が起きて、万が一崩れたときに、被害にあうのは、あなたやあなたの家族だけでなく、地域の人かもしれない。
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