ラジオ関西『時間です！林編集長』でお届けしている夏限定のショートコーナー「わーい！夏休み！」。オススメのお出かけ情報を、番組内の3分間、津田明日香、春名優輝の両アナウンサーが交代で担当している。27日のピックアップは、軟式野球。野球部所属経験のある春名アナウンサーの渾身のレポートをお届けする。

　先日、大阪代表の履正社高校の初優勝で幕を閉じた、101回目の夏の甲子園（全国高校野球選手権大会）。皆さんは、「もう一つの甲子園」と呼ばれる野球大会があることをご存じですか。それが、現在開催中の『全国高等学校“軟式”野球選手権大会』。今年で64回目を迎えます。

　硬式の高校野球の全国大会と同じく、高野連（公益財団法人日本高等学校野球連盟）が主催し、毎年8月に開催。その会場が、明石市にある明石トーカロ球場と、姫路市にあるウインク球場（姫路球場）となっています。

　全国47都道府県を16の地区に分け、各地区1校ずつ、あわせて16校の代表が争います。この16の区分では特色があり、例えば中国地方５県を、岡山・鳥取・島根の「東中国」と広島・山口の「西中国」に分けるなど、地方大会で代表校を選出するところもあれば、北海道、東京都、大阪府、兵庫県は1都道府県で1地区としているところもあります。今年の兵庫代表は、神戸村野工業です。

　ボールの硬さこそ違えど、基本的なルールは同じ。もちろん9回まで試合はあり、それぞれの高校の応援団が熱い声援を送ります。ただ、どうしても硬式の高校野球と比べると球場の観客も注目度も少ない……。ということで、軟式野球の魅力をお伝えしましょう。

　軟式野球というと、中学校の部活動までというイメージが強いかもしれません。ただ、いま行われている高校軟式野球大会の優勝回数をみると、今年も甲子園を沸かせた作新学院（栃木）と中京学院大中京（岐阜）が各9回。それに続くのが龍谷大平安（京都）の6回というように、野球の強豪といわれる高校が名を連ねています。また、高校の軟式野球を経てプロに進んだ選手たちもいます。このことからも、軟式野球だからといってレベルが低いとか、そういったことは一切ないことがわかります。

　軟式野球の歴史は古く、初めて軟式球が市販されたのは1919年。つまり100年前です。神戸市にある東神ゴム工業が、手軽に、かつ安全に野球を楽しむことが出来るようにと、市販したのがはじまりとされています。

　一般に、軟式球は、硬式球に比べると打球が伸びないため、得点が入りにくいとされています。実際に、昨年の第63回大会では、15試合のうち、3点差以内の試合は９度。完封試合も実に７度もありました。終盤までどちらに転ぶかわからない、締まった好ゲームを楽しむことができるといえるでしょう。

　このことを象徴するエピソードをご紹介。それは、5年前の第59回大会で起こりました。いまでは、延長13回までに決着がつかなければ、無死走者1塁、2塁の状態から攻撃を始める、つまり『タイブレーク方式』が高校野球では導入されていますが、当時、試合は、9回を終えても同点の場合には延長戦を行い、延長15回でも決着しない場合には、準決勝までの試合ではサスペンデッドゲーム（後日改めて、中断する前の時点から再開する）として、延長16回から再開され、決着がつくまで行うとされていました。

　準決勝、岐阜の中京（中京学院大中京の旧校名）と、広島の崇徳（そうとく）の試合が、3日間×延長15回、つまり45回を戦っても決着つかず、4日間に及ぶ熱戦に。中京の松井大河投手、崇徳の石岡樹輝弥投手はともに4日間で50回を投げ切り、松井投手は709球、石岡投手は689球を投じました。結局、延長50回に中京が3点を取って勝利して試合を終えたのですが、壮絶な展開ですよね。こういったドラマもあったのです。この試合が『タイブレーク制度』が導入される契機となりました。

　高校野球は硬式野球だけでじゃない！　高校軟式野球大会も、佳境を迎えており、準決勝の2試合は、28日が雨天中止のため、翌29日に明石トーカロ球場で行われる予定です。第一試合は、準々決勝で水渉夢（みず・あゆむ）投手のノーヒットノーランもあり、3連覇に向け順調に勝ち上がった中京学院大中京（東海）が、大阪のあべの翔学と対戦。第二試合は、西中国の崇徳（広島）と四国の新田（愛媛）が相まみえます。勝者は、30日の決勝に進みます。

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　これを読んで、興味が出た方は、是非、足を運んでください。夏の終わりを、「もう一つの甲子園」で締めくくろう！（春名優輝）

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