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  • 2019年9月12日(木) 15時00分 エンタメ

    神戸ジャズを知るならこの一冊 下町人情ジャズストーリー「アンフォゲッタブル」

     プロからアマ、さらにはシニア、社会人、学生までがジャズでつながる街・神戸。日ごろの何気ない風景を、奇想天外なストーリーと現実を織り交ぜながらみずみずしいタッチで描いた小説が出版された。松宮宏著、「アンフォゲッタブル はじまりの街・神戸で生まれる絆」。(徳間書店、880円+税)。神戸ジャズの生い立ちから、今を知ることができる一冊だ。


    神戸に根付くジャズ文化を人情味たっぷりに描いた、松宮宏著「アンフォゲッタブル」(© Tokuma Shoten)

     港とともに発展した神戸は、戦後の米軍キャンプの影響などもあってジャズに親しむ文化が根付き、北野坂界隈には今もジャズライブハウスがひしめく。闇市でにぎわった旧国鉄高架下の商店街など戦後復興の名残が今も残るが、新しい波が街を変えつつある。

     物語は、そんな神戸を舞台に繰り広げられる。退職後、退屈な日々を送る元潜水艦エンジニアの鳥谷書太郎の家に、ある日、保険のセールスで佐藤栞が訪れる。書太郎が大音量で聴いていたマイルス デイビスが、書太郎の妻雛子とプロミュージシャンを目指す栞を結び付ける。一方、自分と家族に起きた事件に傷つき、道を踏み外してやくざの手伝いをしていたフリーターの海音寺安史には、大切にしているトランペットの名器があった。サックスを学ぶ女子高生と知り合ったのがきっかけで、練習現場でのセッションとなり、演奏さながらのスリリングなドラマが展開し始める。

     物語に出てくるジャズトランぺッター、広瀬未来とサックスプレーヤー、高橋知道は実在の人物。二人は、神戸のジャズ関係者が結成した「ジャズの街神戸推進協議会」のメンバーで、ラジオ番組『KOBE JAZZ-PHONIC RADIO』(ラジオ関西)のパーソナリティーを務める。神戸に誕生した中高生のジャズバンド「神戸ユース・ジャズ・オーケストラ」の指導者でもある。

     物語はこうした実際の動きや風景も織り交ぜながら、ジャズが人々をつなぎ、人や街を変えていく様子をユーモアたっぷりに紡ぎ出している。様々なシーンにジャズの名曲がちりばめられ、ジャズ喫茶で読むのに最適な一冊。(桃田武司)

    【関連サイト】『KOBE JAZZ-PHONIC RADIO