兵庫県内に12ある町(ちょう)を月に一度歩く町(まち)歩き、今年度の最後は岡山県備前市に接する上郡町です。
3月22日に上郡の自然を満喫したあと、旧市街を散策するコースを楽しんできました。
JR上郡駅から南西の方に行くと「森林体験の森」という、15年前にできた自然レジャー体験スペースがあります。
33ヘクタールの山の中に森林体験ゾーンと里山ゾーンがあり、町民に親しんでもらうために『森のわくわく倶楽部』というボランティア団体が活動をしています。
代表の高橋重治さんは役場の専門職としてこの森の立ち上げからずっと関わってきた人で、「森を整備すると同時に、月に一度は椎茸作りや鳥の巣箱作り、クリスマスリース作りなどをしています。桜の木も開花時期の違うものを10種類ぐらい約1200本植えています」と話してくれました。
その桜を楽しむ第11回桜まつりが、森の麓にある『かみごおりさくら園』で4月2日に開かれます。
少し時期的に早いのでは?と思いましたが、さくら園のそばにある『上郡ピュアランド山の里』の主任、八幡美穂さんによりますと「この辺りは神戸より早く咲くんですよ。満開になると、ここから下を見たら桜のじゅうたんの上にいるような感じになります」ということでした。
22日の段階ではちらほら咲きというところでしたが、まつりの時にはきれいに咲いているのではないでしょうか。
上郡ピュアランド山の里は上郡町唯一の宿泊施設で、レストランでは桜の時期の特別料理として花見膳を1日20食分用意しているそうです。
刺身、白魚のかき揚げ、八寸、地鶏のステーキ、桜花豆腐、ちらし寿司、湯葉豆腐の鍋、茶わん蒸し、吸い物、デザートと豪華版で3000円ですが、「ラジオ関西を聞いた」と言うと500円割り引いてもらえるそうですよ。
この料理は限定版ですから予約をしておくほうが良いでしょう。
TEL 0791(52)6388
FAX 0791(57)2030
このホテルの裏手にある小高い丘の上に、『出会いの丘の鐘』と名付けられた小さい鐘がぶら下がつていて、出会った2人がここで鐘を撞くと結ばれるとか。
見たところ昔の小学校の鐘みたいですが、効果があるかどうか試してみては如何ですか。キューピットも見守っていますので…。
ひと汗かいた後、山を下りて千種川を渡って旧市街へ。
先ず郷土資料館へ寄って学芸員の島田拓さんに上郡町の歴史を聞きました。
「上郡町自体は交通の要衝として生まれた町ですので、それに関連する遺跡が沢山あり、宿場町としての資料も価値の高いものがあります。赤松円心関連の物もありますので是非ご覧いただきたいですね」。
島田さんの話にもありましたが、この旧市街は山陰と山陽を結ぶ交通の要衝でしたので、昔は両側に大きな商家や造り酒屋などが並び、大いに賑わっていたそうです。
今も上郡駅は山陽線の駅と同時に北へ行く智頭急行の始発駅でもありますからね。
その名残のひとつに高い煙突が印象的な『ギャラリーひがし蔵』があります。
江戸時代から続く西脇酒造という造り酒屋の蔵を改造して、いろんな展示会やコンサートが開かれており、次は4月11日に馬頭琴の演奏会があるそうです。昔使っていた大きな木桶が並んだ前にステージがあり、桶が音響効果を高めるからナマの音が生きて来ると思いますね。
オーナーの西脇洋子さんも「響きが柔らかいんです。小さい音でもよく聞こえますし、音響機器も備えていますが本当のことを言うとナマの音のほうがいいです」と言うてはりました。
大きなひがし蔵のそばにひっそりとある「グラススタジオ刻」は香川県出身の川原有造さんの工房で、12年前から展示会用の制作に集中するためにこの場所に移住してガラス工芸の作品作りや、子どもたちへの体験教室を開いたりしています。
一日中1300度に熱せられたガス釜からゴーッという音が聞こえ、ちょっとした緊張感がありました。
新住民というと、3年前に神奈川県から田舎暮らしを求めて移住してきた長谷川清己さんと和歌子さん夫妻が経営している、町家風の民家を改装した「ウサネコ」というカフェがあります。
面白かったのは移住の動機で、ご主人曰く「道行く人が気軽に声をかけてくれたり、包み込んでくれるような町の雰囲気に一目惚れして15分で決めました。儲けはありませんが人の輪の広がりが嬉しいです」と笑ろてはりました。
私たちが歩いていても、すれ違う子供たちの誰もが「こんにちわ!」と挨拶をしてくれ、こっちも慌てて「こんにちわ!」と答え、何かええ人間になったみたいな気になりました。そんな空気の漂うのが上郡旧市街です。
最後に4月2日の桜まつりのチラシを見てください。