「西條遊児のひょうご町歩き㉕」 5月15日(月)放送
3巡目に入った「ひょうご町歩き」ですが、今回は5月10日に市川町へ行きました。市川町は兵庫県の真ん中にあるハート型をした、自然豊かな人口約13000人の町です。
今回はその中でも、去年あたりから活発になってきた新しい動きなどを中心に取材をしてきました。先ず行った笠形山の麓にある上牛尾地区というところは、恵まれた自然の中で地域ぐるみでオーガニック栽培を盛り上げようとしていまして、その拠点の一つが笠形会館です。
廃校になった小学校の分校を改装して、地域のコミュニティーセンターとして活用されていまして、教室をいろんな形で利用しています。例えば「運命の木」の展示室というのがあり、ここは出来たばかりなんですが、大きなのこぎりや太い木の切り口などが展示されています。
これは50年前の姫路城の昭和大改修の時に、市川町にある笠形神社の御神木が心柱の半分として使われ、その時の資料が展示されているのです。心柱の半分というのもおかしな話ですが、郷土史家の柳瀬龍吉さんによりますと、大天守を支える西側の心柱の上半分が市川町の檜で下半分が木曽山中から伐り出された檜なんだそうです。
心柱にするには直径1メートル以上の檜で高さが25メートル以上、しかも真っ直ぐでなかったらアカンらしく、諸般の事情で2本を接ぎ木させることになったのですが、合わせてみると実に見事にピッタシカンカン、今も現役で頑張っています。生まれも育ちも違う2本の木が、まさに運命に引き合わされるようにドッキングに成功したというので、「運命の木」として教科書の副読本にも登場しました。
詳しいことは笠形会館でご覧ください。
この笠形会館の中に「かさがたオーガニックファーマーズ」と大きく書かれた部屋があります。「この牛尾地区の牛尾武博さんが36年前から有機農業を始め、それを慕って都会から就農希望者がやって来て、現在6組がここで有機農業をしています。それをもっと広めようと去年からオーガニックファーマーズの活動をはじめました。使われなくなった田や畑を就農希望者に斡旋したり、農業体験をしてもらうことで町を活性化していけたらなあと思っています。作業の辛さもありますが有機農業の楽しさもあり、それを市川町を通じて感じてほしいのです。」と事務局の牛尾祐美子さんが話してくれました。
まもなく北海道の旭川から就農希望者がやって来るので、その圃場や住まいの斡旋をしているところだそうです。
メンバーのひとりの永菅裕一さんは「棚田LOVER‘s」という地域活性化グループを作って、都会の人たちに農山村の魅力を伝えるイベントなど開いています。「美しい棚田を未来へつないでいくために自然体験や田植えなどを通じて、本物の良さを知ってもらいたいんです。最近は生き方を見直したり、食や体のことを考えている若者が多くなっていますので、そんな人たちに私の体験を伝えていきたいですね。」という永菅さんのグループに、東京から帰ってきた井上瑞紀さんが加わりました。
「私はここで育ったのですが、2年間東京で働いて市川町のことが好きだったのに気づきました。今は都会からやって来る人たちに、逆に市川町の良さを教えてもらっています」と笑っていました。6月24日(土)には彼らが主催する「ヨモギと人の縁むすび市」というのが、かさがた温泉で開かれます。懐かしいヨモギ団子やヨモギ天ぷらカレー、ヨモギオイル、ヨモギ温泉、ヨモギ夕ごはん会など、ヨモギまみれになりそうな1日が予定されています。
市川町の自然を利用した宿泊施設「リフレッシュパーク市川」にも昨年から新しいものがいくつか登場しています。
「例えばアマゴつかみの池を復活させ、そこで取ったアマゴを囲炉裏で焼いて食べていただきます。今はまだ川の水が冷たいのですが、夏場になると涼しくて子どもさんだけでなく大人の方にも喜んでいただいております」と所長の福富宏三さん。
実際に私もアマゴつかみに挑戦して見事?にゲットしました。
囲炉裏の炭火で焼いたアマゴも美味しかったですよ。
その他、新しく整備したどんぐりの森ハイキングコースは1時間ほどで一回りできるので家族連れにはいいでしょうし、雨が降っても子どもが楽しめるようにミニ四駆サーキットや段ボール迷路なども作られました。人気の「かぶとむしどーむ」は今年も6月24日から8月20日まで開いています。
この「かぶとむしどーむ」の近くに、サバイバルゲームが楽しめる森が今年からオープンしました。エアソフトガンでの撃ち合いを楽しむゲームなんですが、担当の川戸章さんの話では、皆さん戦闘服に身を固め自前の鉄砲持参で一日中楽しんではるようです。
勿論レンタルのエアソフトガンもありますが、滑らないような靴とか擦りむかないような服装は自前でお願いしますとのことです。私も試しに撃たしてもらいましたが、銃自体がずっしりとしていて、連射するとダダダダーン!と迫力がありました。
弾は正露丸ぐらいの大きさで、プラスチックではなく、トウモロコシの澱粉などで作った6ミリのBB弾なので、いずれは土に返る環境に優しいものですが、それでも顔に当たると相当痛いのでマスクやゴーグルは必需品だそうです。会社のグループがやってきて、上司が「今日は私が敵になるから思いっきり攻撃してくれ」というのもあるそうで、ストレスを発散させるには良いかもしれません。但し「かぶとむしどーむ」の開催中はサバイバルゲームはお休みです。
さて、市川町といえばゴルフの国産アイアンクラブ発祥の地で、ふるさと納税のお返しの品として大人気の商品です。
そんな市川町で10月22日(日)に第2回ゴルフまつりが開かれます。去年は1回目ということで割りに地味でしたが、今年はちょっと違いそうですよ。今年は民間の知恵も入れながら、河川敷の市川ゴルフで『喜楽★喜楽GOLFフェス』と銘打って楽しいイベントになりそうです。
運営委員長の原野建さんに聞きました。
「このイベントの趣旨は地域活性という目標がありますので、いわゆるゴルファーだけでなく女性や子どもを含めたファミリー層に来ていただいて、みんなが楽しめることを考えています。例えば女性は美と健康に特化してマッサージやネイル、子どもにはパッティンググリーンを使ってゴルフ体験、親子ペアにはパターコンペ、ゴルファーにはディスクジョッキー入りのニアピン大会など、このゴルフ場を目一杯使った楽しいものを考えていきます」。
10月22日といえばゴルフシーズン真っ只中の日曜日。そんな日にショートコースとはいいながら、1日開放するんですから市川ゴルフも相当根性が入っています。
今回取材して感じたのですが、地域を活性化するために30代、40代が頑張っている、成果は何年か先になるでしょうが、なかなか元気のある町でした。