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遊児のひょうごぶらり歩き!

  • 2017年9月3日(日) 14時33分

    「西條遊児のひょうご町歩き㉙」 9月4日(月)放送

    神戸市の西北隣りにある兵庫県加古郡稲美町へ行って来ました。
    稲が美しく稔るという町名の通り、稲作のほか野菜や果物も豊富な田園都市です。稲美町の特徴のひとつはため池が多いということでしょう。地図を見れば一目瞭然、町内には88のため池が点在し、「稲美のため池群」として文化庁の文化的景観にも選ばれています。

    その中には兵庫県で一番大きい「加古大池」や一番古い「天満大池」などがありますが、最近は農業用水の他にウオーキングやセーリングなどスポーツをはじめ自然観察やレジャーなどにも使われています。

    そのうちのひとつ溝ヶ沢池の近くの「いなみの水辺の里公園」へ行きました。
    2・6ヘクタールの自然いっぱいの敷地の中に、山小屋風の「学習展示棟」や「魚のおうち」、「チョウのおうち」、「ごろっぱ」、「観察池」などがあります。

    この日は児童館との共催で、親子の藍染め教室が「ごろっぱ」と呼ばれる広場で開かれていました。
    公園内で育てた藍の葉っぱをミキサーにかけ、絞った汁にシルクの布などを入れて染めるのですが、水洗いをするときれいな空色になるんです。
    私もご覧のように参加して(と言っても水洗いしただけですが)、きれいな色のスカーフの完成です。

    こちらは、布の上に置いた葉っぱを金槌でトントン叩いて染める「叩き染め」。
    葉っぱの色が布に移っていくので、これなら小さい子供でも大丈夫。

    非常に単純な作業ですが、化学的な染料にない自然の持つ色合いがいいですね。

    さて池と言えば、天満大池に神輿を投げ入れて豊作を祈る、天満神社のお祭りが10月にあります。
    若い衆に担がれた神輿が境内を一周して、土手の上から池に投げ込まれ、そのあと池の中で練りあわされるんやそうです。

    (稲美町提供写真)
    藤田仟磨宮司の話によりますと「もともと池を大事にする神さんとしてお迎えしたので、水に馴染んでもらうよう池に入っていただいてたんですけど、池の土手がだんだんと高くなってきたので、上から放り込まな仕方がないんで…(笑)。毎年祭りが終わったら当番の地区がきれいに修理をするんです。」とのことでした。

    ちなみに今年の秋祭りは10月7日(宵宮)と8日(本宮)ですが、最近は県外からの参拝者も増えてきたそうです。
    この神社には稲美町の有形文化財になっている「天神曼荼羅」というのがあります。
    菅原道真の一代記の絵巻物を掛け軸にしたもので現在は非公開なのですが、取材ということで少しの時間だけ拝見できました。

    「もともと京都の北野天満宮ある鎌倉時代の絵巻物が、天満信仰が全国に広がる過程で、曼荼羅とか絵巻物がコピーされて全国に保存されてきました。こちらの物は掛け軸スタイルで室町末期から江戸初期のものと思われます」と稲美町の藤戸翼学芸員が解説をしてくれました。

    それにしてはきれいに色も残ってましたので、相当大事に保管されていたんでしょう。

    この天満大池のそばに「にじいろふぁ~みん」というJA兵庫南の直売所がありますが、ここは生産、販売、加工までを一貫して手掛ける、農業の6次産業化の拠点施設としておととしの11月にオープンした所です。

    道を挟んで南側に去年6月から「にじいろ農園」という貸農園ができました。121の区画があって、一番多い約10坪の広さの区画で年間24000円で借りられます。大きな茄子がまだぶら下がっている場所もありますが、夏野菜の収穫はほぼ終わっていました。

    「ここの強みはプロというか、私たちJAの職員が側にいますので、何かわからないことがあれば気軽に聞いていただけることでしょうね。休憩していただく管理棟はエアコンもきいて、トイレもきれいと好評です。」とはJA兵庫南の佐藤大輔さん。

    この後は冬物野菜の植え付けになりますが、まだ区画に余裕がありますので、関心のある方は農園に電話で問い合わせてください。(079-495-7002)
    これは冗談ですがと言いながら、「もし万一収穫に失敗しても、向いのにじいろふぁ~みんで買って『収穫品や』と持って帰ることもできますし…」と笑っていました。

    昼食には稲美町の名物と言われている「天ころうどん」を食べてきました。

    写真で見ると、単につけ麺の天ぷらうどんの様ですが、食べてみると出汁が美味いし、天ぷらの衣がシャキッとしているんです。店主の辻本義雄さんに聞きました。

    「ころというのは香露と書きます。冷蔵庫のない時分は出汁を地中に埋めた甕で熟成させて、地上と地中の温度差で甕のふちに付いた露にまでいい香りがするので香露うどんと言います。それが地元でころうどんと呼ばれています」。

    「感動したのは天ぷらの衣ですが、行儀のええ子みたいに、最後までシャキッとしていますね」

    「あれはうちのブレンドの小麦粉を使ってカリッとするように仕上げています。出汁がしみ込みにくいように、最後まで食感がいいように、そんな粉を使っています」

    作り方は門外不出でしょうが、40年の老舗のお店で、土曜日曜には行列ができるんですつて。

    地元では「いなみうどん」で通ってますが、正式には「香露の里いなみ」といいます。

    最後におまけの話題をひとつ。
    稲美町では今年の6月から婚姻届が新しいスタイルになりました。
    普通、役所で出す婚姻届は1枚で出しっ放しですが、ここは複写式になっていて2枚目に記念写真が貼れるようになっていて、持って帰ることができるのです。2人のいい思い出になるでしょう。
    ロビーには記念写真を写すコーナーもあり、私が代わりにパチリ。

    えらいロートルの花婿で申し訳ありません。
    次回は但馬の美方郡新温泉町へ行く予定です。