2018年シーズン最後の「医療知ろう!」は、兵庫県保険医協会 副理事長の武村義人さんをお迎えして、厳しさが増している医師の労働環境の実態について、お話を伺いました。
国会で「働き方改革」についての議論が進められていますが、先日「医師の働き方改革に関する有識者検討会」で、一部医師の残業時間の上限を「年1860時間」にするという報告書をまとめました。
これは、この4月から一般の労働者に適用される働き方改革関連法の上限「年720時間」をはるかに上回り、過労死ラインの2倍の残業を容認することになります。
このような案が承認される原因として、国は「医師不足」を挙げていますが、兵庫県保険医協会では、そもそも病院が経営上の問題で医師をたくさん雇えない以上、「医師不足」の問題を改善させるのは難しいと指摘します。
医師の医療行為に支払われる「診療報酬」が改善されないと、病院の経営も改善せず、新たな医師も雇えず、結果的に既存の医師の残業を増やすことで対応するしかない。
しかし疲労困憊した医師たちが、「安心安全の医療」を果たして患者さんたちに提供できるのか?
この根本を解決しない限り、医師の労働環境は悪化する一方で、ひいては日本の医療の質の低下にもつながりかねないと指摘します。