おたかのシネマでトーク
今日は「男と女 人生最良の日々」をご紹介しました。
監督 クロード・ルルーシュ
出演 アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン、スアド・アミドゥ、アントワーヌ・シレ
まるで、奇跡のような映画。
1966年の「男と女」を撮ったスタッフ・キャストが全員生きていて(フランシス・レイは、これが遺作で、2018年に亡くなってしまいましたが)、しかも全員が現役で仕事をしていて、主役の二人のみならず、1966年の映画で子役を務めていた2人が、大人になって(しかも、60歳前の)息子と娘役で出演しているというスゴイ作品。
1966年、カンヌ国際映画祭で、最高の“パルムドール賞”に輝き、アカデミー賞では“外国語映画賞”に選ばれた、クロード・ルルーシュ監督の出世作「男と女」。
当時お金がなかったので、室内はモノクロ、屋外のシーンは、カラーで撮ったということらしいが、その映像が何とも斬新で、そこに流れるのが、フランシス・レイが手がけた、あの名曲。
エディット・ピアフや、イブ・モンタンの伴奏や作曲をしていたF・レイは、これが初めての映画音楽で、その後「パリのめぐり逢い」「白い恋人たち」など35本もの映画でクロード・ルルーシュ監督とタッグを組み、ほかの監督との仕事も増え、1970年にはアーサー・ヒラー監督の「ある愛の詩」で、アカデミー作曲賞に輝いた。
今回は“The Best Years of a Life” ”My Love”の2曲を作り、これが遺作となった。
監督のクロード・ルルーシュは最初、世に出した6本の映画がこけ、これが当たらなければもうやめようと、自分の作りたいように作ったという恋物語が1966年の「男と女」。26歳の時だった。
スタイリッシュな映像と、少ないけれど詩的で知的な台詞、そして恋する2人の気持ちを何より雄弁に語ったフランシス・レイのあの音楽!
そしてこれは、その「男と女」の半世紀後のお話。
今は、とある施設で余生を過ごすジャン・ルイ(ジャン=ルイ・トランティニアン)。
かつては、一世を風靡した凄腕のレーシング・ドライバーだった。
ところが、徐々に過去の記憶があやふやになっていき、認知症を心配する息子のアントワーヌ(アントワーヌ・シレ)は、父親が失われゆく記憶の中でもずっと語り続ける最愛の女性アンヌ(アヌーク・・エーメ)を探し出し、会ってもらうことで何かが変わるかも・・・と、やっと居場所を突き止め、アンヌの経営する小さな店を訪ねて来る。
かつて、激しく愛し合い、そして気まずく別れた過去を乗り越え、ジャン・ルイを訪ねるアンヌ・・・。
もはや、彼女が誰だかわからない、でもかつて愛した女性に似ていると、ジャン・ルイはアンヌに、最愛の人への思いを打ち明け、写真を見せて懐かしそうに話し続ける。
改めて、こんなにも愛されていたのかと、感動すら覚えるアンヌ。
あの時、まだ小さな子供だったあの頃、同じ寄宿学校にいたアンヌの娘フランソワーズ(スアド・アミドゥ)と、ジャン・ルイの息子アントワーヌにとっても、何故か心のざわつく再会となった日から、再び彼らの時間は交差し、動き出すのだ。
1作目の名シーンを織り交ぜながら、新たなラブストーリーを紡ぎだす、名匠クロード・ルルーシュ監督。
あの二人が年を重ねて再び同じ人物を演じ、60歳目前の、その子供たちを演じているのも同じ、かつての子役だった彼ら・・・。
もうすぐ88歳というのに相変わらず、エレガントで美しいアヌーク・エーメ。
90歳近いのに、まだまだチャーミングでセクシーなジャン=ルイ・トランティニアン。
ジャン・ルイの娘役で、2015年の「007 スペクター」で、51歳でボンドガールを務めて話題になったモニカ・ベルッチも相変わらずの妖艶さで登場。
2週間という異例の短さで撮影されたという、ルルーシュ監督の49本目の作品。
そこに流れるのは濃密な時間、50年という現実の歳月。
素晴らしい作品、正に、奇跡の1本です!
★おたか★
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