おたかのシネマでトーク
今日は「麻雀放浪記」をご紹介しました。
監督 和田誠
出演 真田広之、鹿賀丈史、加藤健一、名古屋章、高品格、加賀まりこ、大竹しのぶ
毎月最終週は、懐かしの映画をご紹介する“オタシネ・クラシック”。
平成最後に取り上げたのは「麻雀放浪記」。
1984年10月10日に公開されたこの映画、阿佐田哲也の小説“麻雀放浪記”の第1巻“青春篇”を、和田誠が監督・共同脚本(澤井信一郎と)で撮り、その年の日本アカデミー賞に作品賞、監督賞はじめ主要8部門でノミネートされ、出目徳を演じた高品格が最優秀助演男優賞、そして編集賞を獲得した、角川春樹プロデュースになる映画。
今年、コカイン問題で逮捕された俳優が出ていて、公開か延期撮り直しかで物議をかもした白石和彌監督、斎藤工主演の「麻雀放浪記2020」。当初の予定通り、そのままノーカットで4月5日に公開されたことについては、先週の“バンバン侍”のコーナーでも取り上げましたが、これは、東京オリンピックが中止になった2020年に主人公が1945年からタイムスリップしてくるという設定で、35年ぶりにリメイクされたもの。
1984年公開の方の監督をした和田誠は、ご存知イラストレーター、エッセイストとして活躍中で、これが初の映画監督作品で、この後小泉今日子主演の「怪盗ルビイ」など数本の作品を手がけている。
実父が築地小劇場の創立メンバーの一人で、ラジオドラマの演出で“ラジオの神様”と呼ばれた和田精、妻が料理研究家の平野レミ、長男はロックミュージシャンでその嫁が上野樹里・・・という芸能というかアーティスト系のファミリー。
多摩美術大学を出て、たばこ”ハイライト“のパッケージデザインや”週刊文春“の表紙や星新一、丸谷才一、村上春樹、阿川佐和子らの本の装丁でもおなじみ。
そもそも絵に関する仕事をしようと思ったのが、「グレンミラー物語」を観て、ジェームズ・ステュアートに似顔絵入りのファンレターを出し、返事が来てその絵を褒められたのがきっかけだったという映画好きで、「お楽しみはこれからだ」など、映画がテーマのエッセイは、私も大好き!
一方、原作は1969年『週刊大衆』に最初のシリーズが連載され、昭和40年代のマージャンブームの火付け役となり、1972年までに4シリーズが連載された阿佐田哲也(色川武大)の小説。
戦後復興期のドヤ街を舞台に最初まだ子供だったことから坊や哲と呼ばれた主人公(真田広之)が、カモを見つけてはその財産をむしり取る筋金入りの悪党ドサ健(鹿賀丈史)と出会い賭博の世界に足を踏み入れ、片腕の傷痍軍人の上州虎(名古屋章)、着流しの女衒の達(加藤健一)、彼らと激闘を繰り広げ“九蓮宝燈”を上がってこと切れてしまう出目徳(高品格)、OXクラブのママ(加賀まりこ)、ドサ健の愛人のまゆみ(大竹しのぶ)ら、個性豊かなばくち打ちらとの交流を通して逞しく生きていく様を、和田誠はモノクロの画面で描きあげている。
久しぶりに観るモノクロの画面、今や大スター揃いのCASTの若き日の初々しさや迫力の演技、すべてに圧倒される。
特に、最初、松田優作にオファーしたけれど叶わなかった、というドサ健役を演じた加賀丈史は、逆に彼でというか彼だからよかったという名演技で光っている。
小説で、漫画で、映画で・・・、何度でも美味しい作品です!
★おたか★
過去ログ・・・
4月17日 放送 おたかのシネマでトーク「ハンターキラー 潜航せよ」