*おたかのシネマでトーク
今日は「 罪の声 」をご紹介しました。
監督:土井裕泰
キャスト:小栗旬
星野源
松重豊
古舘寛治
宇野祥平
他
未解決事件ときけば思い出すのが“3億円事件”と”グリコ・森永事件”。
特に関西が舞台ということで、忘れられないのが“グリコ・森永事件”。
報道機関などに挑戦状を送り付け、毒入り菓子をばらまいたり、一般市民や社会を巻き込んでの“劇場型犯罪”として記憶されるこの事件をモチーフに塩田武士が書いた「罪の声」は、2016年週刊文春ミステリーベスト10で、1位になったベストセラー小説。
関西学院大学を卒業後、神戸新聞社の記者として取材した経験が、小栗旬演じる大日新聞の記者阿久津の行動に大いに反映され活かされている。
文化部で映画などの記事を書いている阿久津英士(小栗旬)は、“深淵の住人”という未解決事件を追う社会部の特集記事のチームに参加することになり35年前に起き既に時効になっている“ギンガ・萬堂事件”の真相を追うことになる。
かつては社会部の記者として事件を追っていたその頃を思い出しながら、地道な取材に明け暮れる毎日。
一方、京都で父の跡を継ぎ、テーラーを営む曽根俊也(星野源)はある日父の遺品の中に“1984”とラベルに書かれたカセットテープと手帳を見つける。カセットデッキを引っ張り出してそのテープを再生すると、そこには幼いころの彼自身の声で録音されたメッセージが・・・。そしてそれは、あの“ギン・萬事件”で、犯人がお金の受け渡しの指示に使った電話の声だった。何故子供のころの自分の声が犯罪に使われていたのか?手帳に英語で書かれた文章とは、いったい何なのか?曽根は父親の知人や友人を訪ね、その真相を知ろうとする。そして彼の元に取材にやってきた阿久津。
事件で脅迫に使われた子供の声はあと2つ。女の子と俊也よりもう少し年上の男の子の声。
2人はいったい誰なのか? やがて阿久津と曽根は一緒に、事件の真相を追うことになる・・・。
この物語の中では事件の真相が明らかにされ、犯人も特定される。
フィクションなのにもしかして、実際の事件も・・・と思ってしまう程、ち密な取材と大胆な発想でプロットを積み重ね、書きあげられた力作で、発表と同時に、多くの映像関係者が映像化を希望したというこの作品、実はこれを書きたいがために作家になったというぐらい作者にとって思い入れの深い題材だったらしい。
取材に応じ証言する人々、ほんの少しの出番なのに深い印象を残す素晴らしい役者たち、火野正平、堀内正美、佐川満男、正司照枝、浅茅陽子、橋本じゅん、佐藤蛾次郎、塩見三省・・・。
44年ぶりの新作という梶芽衣子、市川実日子、松重豊、古舘寛治、宇野祥平、原菜乃華そして宇崎竜童など、重要な役どころのCASTもいい味を出している。
監督はTVドラマ「重版出来!」や映画「いま、会いにゆきます」「映画ビリギャル」などの土井裕泰。
脚本は、TVドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」などの野木亜紀子。
映画の登場人物の目線で何度も書き直したというUruの主題歌「振り子」は、胸に迫る。
これからの活躍が、大いに期待される作家の塩田武士さん、ラジオ関西ではおなじみ、塩田えみさんの弟さんときいて、益々、応援したくなりました。アニメ業界を描いた最新作「デルタの羊」も、面白そうです!
★おたか★
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