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  • 2018年5月16日(水) 16時48分 おたかのシネマDEトーク

    おたかのシネマでトーク『のみとり侍』(2018.5.16水)

    ーーーおたかのシネマでトーク

    今日は「のみとり侍」をご紹介しました。 

    監督 鶴橋康夫

    出演 阿部寛、寺島しのぶ、豊川悦司、斎藤工、風間杜夫、大竹しのぶ、前田敦子、松重豊、桂文枝

     

    徳川10代将軍家治の治世。
    老中、田沼意次(桂文枝)は、やりたい放題。規制緩和で何でもありの世の中で、いろんな生業で江戸庶民たちは逞しく生きていた、そんな時代。

    武士のエリートコースをひた走っていた、越後長岡藩の勘定方書き役小林寛之進(阿部寛)は、歌会で藩主牧野備前守忠精(松重豊)の逆鱗にふれ『お前なんか、蚤とり侍になれ~!』と左遷されてしまう。

    当時、猫の蚤取りをすることを表の顔にして、裏ではその飼主の女性たちを慰めるというお仕事があったようで、
    藩邸を追い出された寛之進は、貧しい子供たちに無料で読み書きを教えている佐伯友之介(斎藤工)らの暮す長屋に住まいを移し、どんな仕事かもわからないまま、蚤とりの元締めを訪ねる。

    甚兵衛(風間杜夫)と女将のお鈴(大竹しのぶ)に才能があると見込まれ、派手な着物を着せられていきなり何も分からず、お仲間たちと町へ送り出された寛之進。

    最初に彼を呼び止めたのが、おみね(寺島しのぶ)という、ある大物に囲われている愛人で、なんと寛之進の亡くなった妻にうり二つの女性。
    これはもしや運命の出会い?と胸躍らせたのもつかの間、
    『この下手くそが~!』と怒鳴られる始末。

    男としてのプライドをズタズタにされ、意気消沈する寛之進の前に現れたのが、江戸一番の伊達男、小間物問屋近江屋の婿養子の清兵衛(豊川悦司)。恐ろしい妻おちえ(前田敦子)の目を盗んでは浮気三昧。
    そんな清兵衛に手取り足取り教えてもらい、メキメキ腕を上げていく寛之進。
    ところが、老中田沼意次が失脚し、蚤とり禁止令が出て、彼らは捕らえられてしまうのです・・・。

    昨年亡くなった小松重男の傑作短編集「蚤とり侍」の中から、
    表題作と、傘一本だけ持って追い出された亭主の「唐傘一本」、
    父親から譲り受けた刀を大事に守る貧乏武士の「代金百枚」のお話をあわせて脚本を書いて監督したのが、鶴橋康夫。
    映像の魔術師といわれる彼が、40年間も映画化を熱望していたと言うだけあって、シニカルでシュールな鶴橋ワールドが全開。

    前作「後妻業の女」で、高齢化社会に潜む怖さをブラックな笑いをまぶして描いた鶴橋監督が、今回は江戸時代を舞台に武士として、男として、与えられた場で真面目に生きようとする不器用な男が、やがて本物の愛と人情に出会う物語を、笑いと共に、楽しく切なく風刺を利かせて描きあげている。

    結構きわどいシーンもありながら、嫌味なく観られるのは、阿部寛はじめ出演者のアンサンブルの妙で、本当は練りに練った演技プラン演出プランに基づいているのだろうけど、まるで思い付きのように気楽な展開で進んでいくのが小気味いい。
    文枝師匠の田沼意次も、非常に見ものです。
    是非観に、いらっしゃ~い!

    ★おたか★

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