おたかのシネマでトーク
今日は「ベル・カント とらわれのアリア」をご紹介しました。
監督 ポール・ワイツ
出演 ジュリアン・ムーア、渡辺謙、加瀬亮、クリストファー・ランバート
“ストックホルム症候群”あるいは“リマ症候群”とよばれているのですよね?
誘拐事件や監禁事件などで、被害者が生存戦略として犯人との間に心理的なつながりを築くこと。
時には、恋愛感情にも似た感情を持つこともあるらしい・・・。
1973年8月、ストックホルムで発生した銀行強盗人質立てこもり事件、
1996年12月、南米ペルーのリマにある日本大使公邸占拠事件などからこの呼び名がついたようだが、そのリマの事件が執筆のきっかけとなったというアン・パチェットのベストセラーがこの映画の原作で、2001年に出版され、AMAZONのベスト・ブック・オブ・ザ・イヤーにも輝いたという小説。
南米のとある国。副大統領の屋敷で開かれたパーティ。
そこには、日本人のホソカワ(渡辺謙)という実業家も招待されていて、傍らには通訳のゲン・ワタナベ(加瀬亮)が付き添っていた。
彼の事業の工場を是非とも誘致したいという下心もあって、実はホソカワがあちこちで開かれるリサイタルに足しげく通っているという、大好きなオペラ歌手ロクサーヌ・コス(ジュリアン・ムーア)をゲストに招き、目の前で歌ってもらおうと企画されたパーティで、大統領やフランス大使のティボー(クリストファー・ランバート)らも参加する盛大なものだったが、結局大統領は欠席したままパーティは始まり、居並ぶ招待客の前で、ロクサーヌの歌声が響き渡ったその瞬間、突然テロリストたちが邸内になだれ込み屋敷を占拠してしまう。
邸内にいた全員が人質となったまま朝を迎え、収監中の仲間の釈放を求める彼らとの交渉役は、赤十字のメスネル(セバスチャン・コッホ)が務めることに。
何人かの人質は解放されたが、その後の膠着状態を打破したのは、ロクサーヌの歌声。
そして、いつしか人質とテロリストの間には、不思議な関係が芽生えていった・・・。
ロクサーヌの素晴らしい歌声を吹き替えたのはルネ・フレミング。あの「シェイプ・オブ・ウォーター」の挿入歌の「ユール・ネヴァー・ノウ」でも知られる素晴らしいソプラノ歌手。
素晴らしい芸術が人の心を動かすというのは、先日、来日中のベルリン・フィルをあのズービン・メータが指揮したコンサートを聴き、大感動したのでわかるような気がするし、実際、人の心を動かしたり救うのは、力ではなく、芸術や真の交流がもたらす触れ合いや愛なのだというこの映画のテーマに、素直に共感できるのだ。
監督は「アメリカン・パイ」でデビューし、「アバウト・ア・ボーイ」で弟のクリスと共に脚本と監督を務めアカデミー賞脚本賞にノミネートされたポール・ワイツ。
人間ドラマの演出ぶり、サスガです!
★おたか★
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