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  • 2020年1月15日(水) 14時00分 おたかのシネマDEトーク

    おたかのシネマでトーク 『ジョジョ・ラビット』 (2020.1.15 水)

    おたかのシネマでトーク

    今日は「ジョジョ・ラビット」をご紹介しました。

    監督 タイカ・ワイティティ

    出演 ローマン・グリフィン・デイヴィス、トーマシン・マッケンジー、タイカ・ワイティティ、レベル・ウィルソン、スティーブン・マーチャント、アルフィー・アレン、サム・ロックウェル、スカーレット・ヨハンソン

     

    今年は2週間早く開催されるということで、ノミネート作品も発表になった第92回のアカデミー賞。
    9本の作品賞候補の中で、最有力と言われているのが、この「ジョジョ・ラビット」。
    というのも、アカデミーの前哨戦と言われる、昨年9月のトロント国際映画祭で、最高の賞となる”観客賞“を受賞したのが、この作品だから。
    前年「グリーン・ブック」がこのセオリーにのっとって、オスカーに輝いているし、過去にも「英国王のスピーチ」や「それでも夜は明ける」も同じ道筋を通って作品賞を取っている。

    2次世界大戦下のドイツ。10歳の少年ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、青少年集団ヒトラー・ユーゲントの立派なメンバーになろうと、合宿に参加する。
    戦いで片目を失った大尉(サム・ロックウェル)や、教官(レベル・ウィルソン)らの指導で、ハードな戦闘訓練が続き、命令通りウサギを殺せなかったジョジョは“ジョジョ・ラビット”という不名誉なあだ名をつけられてしまう。
    そんな彼の“もう、無理かも・・・”という心のつぶやきに応えてくれたのが、空想上の友達のアドルフ。
    監督のタイカ・ワイティティが演じるこのヒットラーそっくりの人物、いろんな場面でジョジョの前に現れ、勇気づけてくれる。
    まるで、チャップリンの独裁者のような雰囲気で登場してくるアドルフ。

    このあたりから、この映画に込められた風刺や皮肉や辛口のユーモアに気づくのだが、そういえば、オープニングのナチスドイツへの市民の熱狂ぶりに、ドイツ語版のビートルズの“抱きしめたい”が、妙に違和感なくかぶって流れていたのを思い出し、これはタダモノではない作品だ!と改めて思い知ることになるのだ。

    行方不明の父親を待ちながら、母ロージー(スカーレット・ヨハンソン)と暮らす家の、亡くなった姉インゲの部屋に人の気配を感じて探検すると、隠し扉の向こうに、ユダヤ人の少女エルサ(トーマシン・マッケンジー)が匿われているのを発見。
    最大の敵が、目の前に!さぁ~、どうする?

    監督・脚本そして、ヒトラー役まで演じきり、恐るべき才能を発揮しているのは、ニュージーランド出身で、マオリ族とユダヤ人の血を引くタイカ・ワイティティ。
    偏見を経験し育ってきた彼が『本作を作ることは、私たちが子供たちに、寛容について教えなければならないことを思い出させてくれました。また、この世界に憎しみのための場はないことにも、あらためて気づかせてくれました。』と語る通り、コメディの形で始まった作品がやがて深いヒューマンドラマとなり、斬新な表現方法で戦争の恐ろしさと空しさを訴えかけてくる、すごい作品なのだ。

    2017年、あの「マイティ・ソー バトルロイヤル」で大ヒットを飛ばし一躍有名監督になった彼が、初めてハリウッドで、自分の撮りたい作品が撮れるようになった、その最初の作品がこれ。
    大友克洋の「AKIRA」の実写版の監督にも名前が挙がっているという彼の今後の仕事からは、本当に目が離せなくなりそう!

    ★おたか★