おたかのシネマでトーク
今日は「フォードvsフェラーリ」をご紹介しました。
監督 ジェームズ・マンゴールド
出演 マット・デイモン、クリスチャン・ベール、ジョン・バーンサル、トレイシー・レッツ、ジョシュ・ルーカス、カトリーナ・バルフ、ノア・ジュプ
巨大な工場、長いラインから生み出される大衆車フォード。
スピードと性能にこだわり、レース経験豊富で優れた開発力を誇るフェラーリ。
フォードは、自らのブランドイメージを上げ、又、その技術力を手に入れるため、モータースポーツへの過剰投資によって苦しい経営状況に追い込まれていたフェラーリを買収しようとした。
ところが、イタリアでの交渉の土壇場でフェラーリのオーナー、エンツォ・フェラーリにコケにされたことを聞いたフォード社の社長ヘンリー・フォード2世は激怒し、ル・マンのレースでの打倒フェラーリを掲げ、多額の資金をつぎ込みマシンを開発してレースの世界に参戦することを決めた。
この映画は、1960年代半ば、フォードからこの途方もない仕事を請け負い、1966年のル・マン24時間レースでその偉業を成し遂げた2人の男の実話。
レーサーとして1959年のル・マンを制し、その後心臓病で引退、理想のスポーツカーを作るべく会社を立ち上げ、経営者兼カーデザイナーとなった、キャロル・シェルビー(マット・デイモン)。
シェルビーが相棒に選んだのは、第2次世界大戦後アメリカに移住し、自動車修理工場を営みレースに参戦する日々を送りながら、税金の滞納で工場を差し押さえられ生活が行き詰ってしまった凄腕のイギリス人ドライバー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)。
妻モリー(カトリーナ・バルフ)と息子ピーター(ノア・ジュブ)にも応援され“わずか90日で王者フェラーリを負かすマシンを作る”というとてつもなく無謀なプロジェクトに参加することを決める。
しかし、24時間走り続けることが可能なマシンを作るには時間が足りないという技術的な問題に加え、様々な部署からの横やりが入る会社の体制など、彼らの前に立ちはだかる様々な壁。
人生のすべてをかけ、時には命がけで車作りに邁進する彼らの苦闘ぶりは、まるで、不可能を可能にした男たちの挑戦を描いたTVのドキュメント”プロジェクトX“を観ているようで、あの中島みゆきの”地上の星“が頭の中に鳴り響きそう。
世界3大レースといえば、F1の“モナコグランプリ”、アメリカの“インディ500”、そしてフランスの“ル・マン24時間耐久レース”。
ル・マンを題材にした映画といえば、1971年の、スティーブ・マックイーンの「栄光のル・マン」が思い出されるが、ポルシェ対フェラーリのデッドヒートで、ポルシェに乗るS・マックイーンは、メチャ格好よかった!
本物の1970年のレースの映像をふんだんに使った迫力ある作品だったのに、本国では大コケ。
でも日本では大ヒットし、1973年から日本もル・マンに参戦するきっかけになった映画だった。
一方この「フォードVSフェラーリ」は、サーキットを完璧に再現し、まるで観客がそのレースマシーンに乗っているかの如く、リアルな臨場感を素晴らしいカメラワークで捉え、1966年のル・マンのレースを実際に完走したドライバーを父に持つプロのレーサーたちがスタントドライバーとして参加しているというリアルさ。
そして、彼らも絶賛したクリスチャン・ベイルのレーサーぶり。
アメリカやヨーロッパでは大ヒットし、評判もすこぶるいいのに、日本ではちょっと苦戦中なのは、「栄光のル・マン」とまるで逆。
アカデミー賞の作品賞にノミネートされていることからも、そのクォリティの高さは、分かろうというもの。
監督は「17歳のカルテ」「3時10分、決断のとき」などのジェームズ・マンゴールド。
153分と、ちょっと長いけど、是非大きな劇場のスクリーンで観てほしい作品!
★おたか★