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  • 2020年3月11日(水) 13時40分 おたかのシネマDEトーク

    おたかのシネマでトーク 『Fukushima 50』 (2020.3.11 水)

    おたかのシネマでトーク

    今日は「Fukushima 50」をご紹介しました。

    監督 若松節朗

    出演 佐藤浩市、渡辺謙、吉岡秀隆、緒形直人、火野正平、平田満、萩原聖人、吉岡里帆、斎藤工、富田靖子、佐野史郎、安田成美

     

    2011年311日、午後246分。マグニチュード9.0、最大震度7という日本の観測史上最大の東日本大震災が起こった。
    多くの人が犠牲になり、行方不明の人も、まだまだ故郷に帰れない人も多いという現実に、本当に心が痛む9年目を迎えた今年。
    巨大な津波により、未曽有の被害を受け、全ての電源を失い、冷却装置が働かないことによるメルトダウンの危機に瀕した福島第一原子力発電所の、震災からの5日間を描いた映画が公開された。
    原作は、門田隆将の「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」という90人以上の事故の関係者にインタビューしたノンフィクション。
    監督を務めたのは「ホワイトアウト」「沈まぬ太陽」「空母いぶき」などの若松節朗。
    巨大なオープンセットを組み当時の様子を細部まで再現し、2200人のエキストラ、米軍の協力も得て横田基地でのロケーションも敢行したという大作。

    福島第一原発所長 吉田昌郎(渡辺謙)、1・2号機当直長 伊崎利夫(佐藤浩市)、5・6号機当直長 前田拓実(吉岡秀隆)ら作業員たちは、最悪の危機に直面した。
    津波で建屋の地下に海水が流れ込み発電機が水没し停止、午後340分には、SBO(全交流電源喪失)が宣言された。
    このままでは、冷却装置が動かず、溶けた燃料が格納容器を突き破り、やがては炉心溶融(メルトダウン)が起こる。
    圧力が上がった原子炉格納容器の爆発を防ぐために、排気ベントをすることになるが、建屋の中に入り手動でするしかなく、危険な任務となるそのメンバーを募るのも、伊崎にとっては辛いことだった。
    そんな現場の奮闘をよそに、もっと早く何とかしろ!と詰め寄る東電の本店や内閣総理大臣(佐野史郎)をはじめとする官邸の面々。

    困難に立ち向かう名もなき人々を称え、海外メディアが呼んだという“Fukushima 50”。
    『あきらめてはダメだ。最後に何とかしなくてはいけないのは、現場にいる俺たちだ!故郷を守るのは、俺たちの手にかかっている!』という伊崎の言葉に、正に“ワンチーム”となって闘った彼らの凄さを感じる。

    2013年79日、58歳で還らぬ人となった吉田所長。その死の原因に直接放射能が関係していたかは分からないものの、この事故でのすさまじいばかりのストレスが関係していたことは間違いないだろう。

    これでよかったのか? 何が間違っていたのか?
    便利で快適な生活を追求するあまり、私たちは大自然への畏敬の念をはじめ、大切なものを忘れてしまっていたのではないのか?

    鉄道が開通して、帰還できるエリアが少し増え、それでも未だに復興したとはとても言えない現状。
    あの時、凄まじい状況の下で、故郷を、日本を救うために、あらゆる知恵を結集し勇敢に最善を尽くした、福島原子力発電所の名もなき作業員の人々がいたことを胸に刻みたい。
    そして改めて問いたい。それでも、原発は必要なのかと・・・。

    ★おたか★