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  • 2021年1月27日(水) 19時01分 おたかのシネマDEトーク

    1月27日*おたかのシネマでトーク「ヤクザと家族 The Family」

    *おたかのシネマDEトーク

    今日は「 ヤクザと家族 The Family 」をご紹介しました。

    監督:藤井道人
    キャスト:綾野剛
         舘ひろし
         尾野真千子
         北村有起哉
         市原隼人
         他

    コロナ禍の現在、なかなか会えない、距離を保たなくてはいけない・・・となると一層、人と人との繋がりが大切に思えるからか、家族や人との絆を描いた映画が多い気がする昨今、配給・制作のスターサンズの河村光庸と藤井道人監督が再びタッグを組んで世に送り出した作品がこの「ヤクザと家族 The Family」だ。

    昨年の日本アカデミー賞で、最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(松阪桃李)、最優秀主演女優賞(シム・ウンギョン)はじめ6部門で受賞を果たした「新聞記者」のコンビ。
    大成功の後の2作目は、本当の意味での真価が問われる作品になる。
    彼らが、次の作品に選んだのは“新しいヤクザ映画”だった。

    時代が変わり、社会から排除され、取り残されてゆく“ヤクザ”、そんな彼らの生きざまを抗争ではなく、家族という視点でとらえた作品。
    元々日本には、国定忠治や清水の次郎長らを主人公にした“股旅物”というジャンルがあり、1960年代には東映で鶴田浩二や高倉健らの”任侠映画“が人気を博した。
    そして1973年の深作欣二監督、菅原文太主演の「仁義なき戦い」は、第二次世界大戦直後の“広島抗争事件”の組長の獄中記を元に、飯干晃一が書いたノンフィクションが原作で、やくざ社会のリアルな実態を描き出し“実録もの”路線が定着してきた。その後、いろいろなヤクザや裏社会が描かれた映画が作られたが、北野武監督の「アウトレイジ」は「ビヨンド」に「最終章」と続編も作られ、全員悪人、オールスター陣が激しい抗争を繰り広げるバイオレンス作品。
    2018年、「仁義なき戦い」の舞台広島でオールロケしたのが白石和彌監督の「孤狼の血」。
    同じ白石監督の2016年の「日本で一番悪い奴ら」は、北海道警の実際の不祥事を描いたもので、正義感の強い、うだつの上がらない刑事諸星(綾野剛)がやがて裏社会のスパイと共に悪事に手を染めてゆくという話で、綾野剛は役の為に10キロ以上体重を増やし、顔もむくませたとか。

    とにかく役作りがハンパない綾野剛。主人公の山本賢治には、彼以外考えられなかったと監督とプロデューサーの意見が一致し、彼と親子の盃を交わす柴咲組の組長役には舘ひろししかないという監督の押しで決まったキャステイングが絶妙。
    他にも、柴咲組若頭の北村有起哉、舎弟の市原隼人、対立する侠葉会会長の豊原功補、元柴咲組若頭の妻で、食堂をやっている寺島しのぶ、その息子の磯村勇斗、刑事の岩松了、そして山本の恋人役に尾野真千子という最高のメンバーが勢揃い。

    1992年に暴力団対策法、2009年に暴力団排除条例が施行され、反社会勢力への風当たりがどんどん強くなってゆく時の流れを、1995年、2005年、2019年という3つの時代を取り上げて、大河ドラマのように描いてゆく。
    家族っていったい何だろう? 一緒に暮らすのが家族?? 血の繋がっているのが家族???
    一緒にいられなくても、血がつながっていなくても、疑似家族でも、いろんな愛がつまった家族の形があっていい・・・。
    哀しくて、切なくて、こんなヤクザ映画、初めて観た。

    MOTHER マザー」「新聞記者」など、鋭い視点で時代をあぶり出してきた映画会社スターサンズと、スタイリッシュな映像センスに定評のある藤井道人監督が組めば、ヤクザ映画はこうなる・・・。
    ラスト、次の若い世代に託された未来、そこにはどうか、希望がありますように・・・・・!!

    ★おたか★