*おたかのシネマDEトーク
今日は「 花束みたいな恋をした 」をご紹介しました。
監督:土井裕泰
キャスト:菅田将暉
有村架純
清原果耶
細田佳央太
オダギリジョー
他
公開の週の観客動員があの「鬼滅の刃」よりすごかったと聞いて、その勢いの秘密が知りたくて劇場に足を運んだ。
菅田将暉と有村架純の共演で、脚本が坂元裕二、監督が土井裕泰とくれば面白くないはずはないのだが、いわゆる若者の“恋愛もの”に、このトシになって素直に共感できるかどうかちょっと心配だった。
しかもこのタイトル!
あの「東京ラブストーリー」や「カルテット」などの名脚本家、坂元裕二の書下ろしラブストーリーを、あの「いま、会いに行きます」「ハナミズキ」そして「罪の声」などを撮った土井裕泰監督がメガホンをとったというだけで、もう期待度はマックス。
この二人TVドラマ「カルテット」でタッグを組んでいるが、映画はこれが初めてなんだとか。
東京、京王線の明大前駅、終電を逃して出会った21歳の二人、山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)の恋の5年間を描いたストーリー。
この二人、好きな音楽や映画や本が驚くほど一緒。
麦の部屋の本棚を見た絹が“ほぼ、うちと一緒じゃん!”という程の趣味嗜好の一致。
終電を逃して入った喫茶店で、近くのテーブルにいる「GHOST IN THE SHELL攻殻機動隊」などの押井守に気が付き、“神に会った!”と興奮し、雨に濡れながら麦のアパートまで一緒に歩いた時点で、二人のこれからはもう決まったようなものだった。
好きなイラストを描いて生活できたら・・・という麦と、就活に疲れ、好きなことをして生きていきたいと思う絹。
二人は、調布駅から歩いて30分のマンションで同棲することにし、拾ったネコにバロンという名前を付けて飼い始める。
大学を卒業し、フリーターになった二人は、バイト帰りに駅から家までの30分の道のりをコーヒーを飲みながら語り合うのが楽しい日課になった。
昔の同棲と言えば、あの“神田川”の世界だが、現代の二人は“多摩川”が目の前に流れる郊外の、自分たちの好きな本や音楽やおしゃれなインテリアに囲まれたマンションで、青春と恋愛を満喫する。
好きだからずっと一緒にいたいという思いは同じなのだが、だからこそちゃんと就職して生活の基盤を作らなければ・・・という麦と、あくまでも好きなように“遊びを仕事に、仕事を遊びに・・・”のスタンスで転職を考える絹との間に少しずつ生じるずれ。
彼らが共に生きた2015年~2020年のサブカル、ポップカルチャーに親しんでいる人は勿論、そんなモノがはやっていたの?という私のような世代まで、それぞれ時代を感じながら、同時に遥か昔の自分の恋愛体験とオーバーラップさせながら、思い出を共有する愉しさ。
コロナ禍の今、あのふたりが当たり前のようにエンジョイしていた日々の営みが、いつになったら取り戻せるのかということにも思いをはせながら、普通ということがいかに大切なことであるのか、普通の恋人たちの普通の出会いと別れを描いているからこその愛おしさが、年代を超えた人々の心に染み入りヒットにつながったのだろうなということに、納得!
★おたか★
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